「北島さん、伊豆以来ですね、お元気でしたか?」
「え?」
他人行儀に挨拶する真澄にマヤは驚く。
伊豆以来って、、、
「ここではなんですから、どうぞ僕達のリビングへ」
僕たちの
動揺しないよう気を張る真澄だが、その顔色は白く、感情を無くしていた。
速水さん、何かあったの?
何これ、何が起きてるの?
速水さん、私を見て
速水さん!
真澄とハジメは連れ立って先を歩く。
「マヤ様」
「聖さん!」
「真澄様を信じてください。どんなことが起きようとも
真澄様を信じて待っていてください」
無言でこくりと頷き、マヤの目に強い覚悟の色が浮かぶ。
「では、この案で契約書を作成させていただきます。
紅天女の上演検査についてに、北島マヤさんの所有であり、弊社は北島マヤさんのサポートをするにとどまるという事で」
淡々と進む交渉
5冊の台本が机に置かれ
「お気に召すものがあれば、どの舞台もどの役も仰せのままに
ご連絡お待ちしております
では、私どもはこれで失礼いたします」
立ち上がり、ハジメとマヤに深々と頭を下げる真澄にハジメが屈託ない笑顔で言う。
「マヤちゃんの女優としてのマネジメント
お願いします」
すっと差し出した右手、真澄は表情を変えず手を出して握る。
「マヤちゃん、こういう契約、約束をするときは握手するんだよ」隣に立っているマヤの腰をそっと自分に引き寄せ、マヤに真澄との握手を促す。
躊躇いがちなマヤ
真澄は、薄く笑顔を浮かべて手を差し出す。
「お願いします」
マヤの手が震える。
この手を離さないで、お願い、速水さん
マヤ、君のためだ。
君のためなら俺はなんでもする、
俺の気持ちなど、どうなろうと構わない
わかってほしいとも思わない。
愛してる