マヤの書いていたノートには、家計簿のようなものもあった。
そこから読み取れる里山でのマヤの生活は、質素な物だった。
聖が無理矢理マヤに渡したお金を使えば
そこそこ贅沢ができただろう。
それを読み、真澄はただ目を閉じて天井を見上げるしかなかった。
「速水さんへ
今日は、幸子さんにベビーカーとお洋服を貰いました。『出産までに揃える物リスト』は、ほとんど幸子さんとご近所のママさんに頂いたんです。
凄くないですか?
みんなが『産まれてくる赤ちゃんに』って言ってくれるんです。
この前なんて、役場の裏のお爺さんが、街にいる息子さんのところからベビー用のお布団をわざわざ持ってきてくれたんです。
お古って、前に使ってた子への愛情もたっぷり入ってるし、そのうえ私達の赤ちゃんへの愛情もプラスされてて得した気分!すっごく幸せです。
速水さん、
何年でも速水さんが迎えに来てくれるのを待ってます。
赤ちゃんが大人になる前に来てくださいね。」
「速水さんへ
今日、病院で出産の時の費用を聞いてきました。
思ったより高くて、聖さんに借りたお金を使わせてもらいます。
でもね、赤ちゃんが産まれて少ししたら
役場がやってる販売所(野菜とかお花を街で売ってるの)で働けるって役場の人が言ってくれたの
幸子さんもさくらちゃんをおんぶして診療所で働いてたって。販売所なら融通もきくってみんなが言ってくれてるの。
でね、おんぶ紐ももらっちゃった。
最近のおんぶ紐ってすごいの、首が座ってない赤ちゃんも大丈夫な様にガードがついてて、これならすぐに働けそう。
近所の人が、野菜とかくれるし、家の裏の川で釣れた魚も持ってきてくれるから助かってます。
問題は、頂いた魚、、、
焼き魚にしかできないことなの
この前は真っ黒こげになっちゃって、炭の味しかしなかったの
これ食べたらお腹の赤ちゃんに悪いって幸子さんに笑われちゃった。
幸子さんのおばあちゃんがそのうち煮付け方を教えてくれるって
速水さんに美味しいお料理が作れるまで少し時間がかかるから、あんまり早く迎えに来なくてもいいです。
うそ!うそです。
速水さん、魚料理はあきらめて!
早く速水さんに会いたい。」
「速水さんへ
明日の検診で、もしかしたら赤ちゃんの性別がわかるかも
速水さんは男の子と女の子
どっちがいいとかありますか?
私は、性別はどっちでもいいけど
速水さんに似た子がいい!
いっぱい笑って、頭がよくて、優しい子。
私に似ちゃうと、いっぱい笑うけど、容量悪くて、、、んーーーーー
あ!でも今書いてて
速水さんに似ても私に似ても
いっぱい笑う子が生まれるね
早く赤ちゃんにも会いたいし
速水さんにも会いたいです。」
「速水さんへ
携帯、解約せずに持って来ればよかった。
携帯があったら、速水さんの声
聞けたかな
速水さんの声が聞きたい」
「速水さんへ」
「速水さんへ」
「速水さんへ」