私はメッセージをもらったとき、思わず泣いてしまった。
『もうすぐ誕生日のみーさん(奥さん)に、
詠美衣のうたをプレゼントしようと思って!
うちの近くの海にライブをしに来てくれませんか?
詠美衣の出演料を教えてください!』
去年、めでたく結ばれ、今は鎌倉で奥様と暮らしている
心友の「みぞこ」こと溝井孝司くんからの出演依頼だった。
私はちょうどその頃、割と人生に絶望していて、
自分の存在意義やウタうことに対する気持ちを失いかけていたときだった。
無気力で、外に出ることすら億劫で、毎日のようにベッドの上で泣いていた。
今まで両立してやってきていた正社員の仕事も辞めたばかりで、
これから音楽でもっとでも頑張っていきたいというタイミングだったにもかかわらず、人前に出てライブなんてとてもじゃないけど無理・・・という、そんな状態だった。
そんな状況を全く知らないはずなのに、まるで天から見ていたかのように、絶妙なタイミングでメッセージをくれた、みぞこ。。。
私にとって、ものすごく大きなきっかけになった。
*
溝井夫妻は、二人とも絵描きさんで、それぞれ個性的で世界感のある素晴らしい作品を生み出す、生粋のど変態アーティストカップルである。
他にも、みぞこは自身のブログで言葉を紡いだり、機織りをしたり、ギターの弾き語りをしたり(最近は歌まで作れるようになってしまったらしい)
みーさんはも、夢と現実の狭間で急に踊り出したり、みぞこの歌にハモったりして、二人ともアートな才能を発揮して止まないようだ。
いつも自然体で、遊び心があって、私はそんな二人の大ファンである。
そして、有難いことに、彼らもまた二人揃って詠美衣の大ファンと言ってくださる。
二人が付き合い出した頃、私の人生初のワンマンライブに
一緒に足を運んでくれて、CDもお持ち帰りしてくれた。
奥さんのみーさんは、そのCDを聞きながら絵を描いてくれるほど、
私のウタをとても気に入ってくれていた。
去年、彼女が初めて開いた個展に行かせていただいたら、私の曲と同じタイトルの作品が2つも大きなキャンパスとなって、飾られていた。
自分の言葉にならない気持ちをウタに表現したものは、こんな風に誰かの心に届いていたんだ。
目には見えない音楽が、みーさんを通して、目に見える絵という形として表現されたことによって、なんだか自分の想いがさらに報われ昇華されたような気がしたのだ。
嬉しくて、有り難くて、しばらく涙が止まらずキャンパスの前から動けなかったのを覚えている。
みぞこから聞くところによれば、そんなみーさんが、
「そろそろ詠美衣のウタが聴きたい!!!!
今度いつライブをするんだ?!?!早く連れてって!!」
と、ずっと騒いでいてくれていたとのこと。
「モノ」よりも「思い出」をプレゼントしようと思うなんて
みぞこらしいなぁ・・・
私は自分という存在やウタに対して自信を失って
しばらくライブもお休みしてしまっていたのだけど、
自分のウタをずっと待ってくれている人がいたんだ、
ということを改めて知った。
大事な大事な奥様の誕生日に・・・
数ある選択肢の中から、私のウタを
プレゼントに選んでくれたこと・・・
こんなに有難いことってあるんだろうか・・・・
それだけでも有難いことなのに、みぞこは
ちゃんと"私"というアートの価値に対して
出演料をお支払いさせてほしいと申し出てくれている。
「え、でも、大好きな友人だから、全然、ボランティアで歌わせてもらいに行くのに・・・!!!!」
と思ったのだけど、そこには、みぞこからの
暗黙の愛のメッセージが溢れていて、もう、
有り難く受け取らせていただくしかなかった。
「あなたの存在、あなたのウタには、
それだけの価値があるんだよ。
だから、もっと自信持って、歌ってよ。
あなたの存在、ウタを
待ってる人はたくさんいるんだよ。
だから、もっと歌ってよ。
そしてアーティスト詠美衣として
生きる姿をもっと見せてよ」
そんな風に、大きく、暖かく、厳しく、優しく、私を諭してくれているような気がしたんだ。
大好きな2人のために、
心を込めて、愛を込めて、
最高の誕生日プレゼントを届けたい!!!!
と心を突き動かされ、数ヶ月ぶりに、マリリン(ギターの愛称)をケースから取り出した。
つづく
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