ビールを飲みながら頬をまんまるに赤くして愉快に話すおじいちゃん。
ロシア兵の捕虜になった戦争体験を武勇伝のように話してくれたおじいちゃん。
90歳過ぎても、長刀を振り回してカメラの前でポーズをとってくれたおじいちゃん。
目が見えなくなるまで花の写真を撮り続け、毎年カレンダーにしてプレゼントしてくれたおじいちゃん。
何十年も毎日書かさず日記を書き続けたまめで誠実なおじいちゃん。
そんなおじいちゃんとたくさんの思い出がある中で、とても心に残っている一コマがあります。
9年前、お父さんが亡くなる前、
何日か行方不明が続いていました。
その頃、私はちょうど高校の定期試験前でした。
でも、もうお父さんはこの世にいないんじゃないかという第六感のようなものを感じていて、勉強はもちろん不安と心配で何も手に付かなかった。
そんなとき、そんな私に気づいてか、おじいちゃんが言ってくれた言葉があった。
「お前のお父さんはきっと大丈夫だ。
きっと、どこかで、今、お父さんはお父さんなりに頑張っている。
だから、そう信じて、詠美も詠美なりに今をがんばればいいんだ」
この一言で、私はどれほど心強くなれたでしょう。
誰もが希望を失いかけている中、おじいちゃんだけは、最後の最後まで希望を捨てなかった。
実際、父はもうこの世を去ってしまっていたのは次の日知ることになったのだけど、
それでも最後の最後まで信じ抜くということを教えてくれたおじいちゃん。
その言葉には、戦争をはじめ、数々の困難を乗り越えてきた、おじいちゃんの人生を感じた。
戦友の仲間や家族が生きていると強く信じて、希望を失わず、生き抜いた
強さと優しさにあふれていた。
おじいちゃん、ありがとう。
あなたの孫に産まれて本当によかった。
あなたのお茶目な笑顔が大好きでした。
心からあなたの存在に感謝し、尊敬しています。
また晩酌するので、またどこかおいしいものを食べに家族みんなで行こうね!
長い間、お疲れさまでした。
ゆっくり休んでくださいね。