今日の、午後2時。
携帯に突然、アメリカのインディアナ州を表示する番号から日本語で、〝大辻惠麻さんですか?〟と一本の電話がかかって来た。
私の母は、先月から世界一周旅行🌏に行っている。
母からかな?でも、今、彼女フィラデルフィアに居るはず。
何かあったのか?!
心配になって詳細を聞くことにした。
警察 〝警視庁捜査2課の者です👮。福島県で起きている巨額の資金洗浄犯罪に関して、福島県警の捜査2課から委託されお電話をしています。今、お一人ですか?〟
私〝はい…〟
警察 〝ご自宅ですか?外ですか?〟
私 〝自宅ですけど…〟
警察 〝必ずお一人になれる場所に移ってください〟
(きな臭い…)
警察 〝アズマヒロアキという方をご存知ですか?
私 〝そんな人、知りません〟
警察 〝福島県で多額の資金洗浄事件が発覚し、アズマヒロアキ容疑者から押収された沢山のカードの中から、大辻さんのPaypay銀行のカードが発見されました。詐欺の共犯者として、任意出頭して頂き、勾留される事になりましたが、福島県まで来られますか?〟
私 〝ってかPaypay使ったことないですけど?〟
警察 〝物証が出てきてるので、共犯者としての逮捕は免れ得ません。分かりますよね?〟
語調がかなり威圧的になってきた。
(だから、Paypayはインストールしたこともないし、そもそもキャッシュレスサービスなんだから、Paypay銀行カードなんてあるわけなくないw?
確かに刑事訴訟法勉強したのは20年以上も前だし、真面目に勉強したかもあやふやだが、そもそも嫌疑のある容疑者に電話なんかしたら、逃亡されるっしょ😂?
逮捕状もないのに勾留とか電話で言い出してる時点でボロ出まくりじゃねーかw
慶應の法学部ナメんなー(笑)!
伊藤真の司法試験塾ナメんなマジ〜!!)
と、腹立たしさを覚えつつ、詐欺の確証を得る為に、敢えて話を続けた。
私 〝捜査2課の方とのことですが、貴方のお名前を教えてください〟
警察 〝佐藤コウジです。〟
(うまいこと、一番多い苗字で来たか)
私 〝電話の発信元が、アメリカのインディアナ州になってますけど、なぜ海外からおかけなんですか?〟
警察 〝警察署からかける場合、必ず末尾が110になってしまうので、警察からだと容疑者に分かってしまう為、着信拒否されないように、海外の回線でかけているんです〟
ここまで、なかなか饒舌である。
(だから、容疑者に電話しないし😅!まあ、きっとみんなが怪しんで同じ質問するから、マニュアルがあるんだろう)
警察 〝確認ですが、大辻さんの電車番号は、090-XXXX-XXXXで、ご住所は、世田谷区◯◯ X-X-Xで合ってますか?〟
(それは、引越す前の住所。そして、惜しい事に、マンションの部屋番号が抜けている。)
私 〝マンションの部屋番号はいいんですか?〟
(⤴️ちょっと攻めの姿勢)
警察 〝いや、これで、本人確認出来ましたので、任意出頭して頂きます。勾留される事になります。福島まで来られますか?〟
私 〝私、人工肛門保有者ですし、息子もまだ小さいので無理です!〟
(ちなみに、息子は今、新潟のテニスキャンプ🎾に行っていて、来週まで帰って来ない😂)
警察 〝それでは、来られない方の為に、今から電話を別の部署に転送しますが、またはじめから同じ事を聞かれますがいいですか?〟
と、ここで、タイミング良く、ヘルパーさんが帰って来た。
彼女は英語しか話せないが、敢えてスピーカーホンにして、
〝パパ〜!!
なんか、警視庁捜査2課の人から電話かかって来てて、
資金洗浄の嫌疑で福島まで任意出頭しろって言われてるんだけどー!!〟
と玄関にいるヘルパーさんに絶叫。
(ちなみに、私の父は、20年前に他界している上、イギリス人なので日本語は全く分からない😂)
警察 〝一人じゃないんですか?! もしもし?!
もしもーし!!〟
ガチャン。
ここで電話終了。
間違いなく特殊詐欺だと確信し、私はすぐに、福島県警に電話をかけ、一連の概要を伝えた。
(本物の警察)〝この二週間、同様の、福島県警を装った特殊詐欺が横行して、同じようなお電話が本当に後を立たないんです。警察が、海外の回線からお電話をする事は絶対にありません。〟
ヨカッタ…。やっぱり特殊詐欺だったか。
福島県警の方は、こう続けた。
〝この特殊詐欺の特徴は、高齢者ではなく、30代、40代、50代にターゲットを絞っている事と、流出している個人情報が微妙に古いことなんです。〟
とのことだ。
私はたまたまこの電話がかかって来た時、ゴロゴロしながらNetflixの「地面師たち」というドラマを観はじめていた直後だった。
実際に積水ハウスが巨額の被害に遭った特殊詐欺事件を元にしているドラマで、その巧妙さたるや、唸るほど緻密に構築されている。
本当にタイミング良くかかって来たのと、一応、刑事訴訟法の薄〜い知識で、すぐに特殊詐欺だと怪しむ事が出来たが、正直、最初に〝捜査2課〟〝資金洗浄の容疑者〟
〝物証がある以上免れ得ない〟と、猛烈なスピードで捲し立てられた時は、若干パニックになった。
これが、何か別のことでとても余裕が無い時だったり、息子や母の安否に関わる事だったとしたら、詐欺とは疑えず、信じてしまっていたかもしれない。
この特殊詐欺事件、ネットで調べたら、地元紙では既に掲載されており、実害も出ているそうだ。
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電話を転送された後、検察官を名乗る男に〝500万を振り込めば、容疑からハズれる〟と巧みになりすましに金銭を詐取されたとのことである。
〝俺おれ詐欺〟に始まり、特殊詐欺なんて、身寄りがない弱い高齢者を狙うものだと勝手に思い込んでいたが、
こんなにも身近に、簡単に起こる事なのかと思うと、
ゾッとする。
後で書き出したメモを客観的に見返すと、ツッコミどころは満載だが、一人ぼっちの時に、巧みな話術で次々と個人情報を電話口に言い当てられると、だんだんと不安になってくるのは、誰しも共通した真理であろう。
皆さんも、どうか〝自分だけは関係ない〟とは思わないで欲しい。
犯罪者達は、信じられないくらい、すぐ隣にいるかもしれないのだから…。
Emma拝