ここ最近すっかりマナーハウス巡りづいていますが、

今回訪れたのもチューダー朝、

特にエリザベス一世に縁の深い貴族のお屋敷です。

 

屋敷の主人の名前はウィリアム・セシル。

 

 

元はジェントリ(イギリスの下級地主層)の出身でしたが、

ヘンリー8世、エドワード6世の宮廷で国王秘書長官として頭角を現しました。

エリザベス一世が王女だった時代から彼女を支持し、

彼女が即位してからは側近中の側近として約40年にわたり支え続けました。

長年の功績から1571年にバーリー男爵に叙され、

1587年に完成した居宅がその名を冠したバーリーハウスです。

 

一説によると彼はエリザベス朝のスパイマスターで

(通説ではフランシス・ウォルシンガムがスパイマスターですが

そもそも彼を雇って使っていたのがウィリアム・セシル)、

国内外のカトリック教徒やスコットランド女王メアリーを支持する派閥などから

常に命を狙われていたであろうエリザベス一世が暗殺されず老齢で病死できたのは、

彼が張り巡らしたスパイネットワークの諜報活動の賜物と言われています。

エリザベス一世も彼を「私の魂 (My Spirit)」と呼んで全幅の信頼を置いており、

彼が晩年寝たきりになると妻のように甲斐甲斐しく世話をし、

1598年に彼が亡くなった時には声をあげて泣きじゃくったとか。

 

ところで、「セシル」って名前に聞き覚えがありませんか?

そう、実は私が7月に訪れたハットフィールドハウス

彼の次男で、エリザベス一世とジェームス一世両方の重臣だった

ロバート・セシルが建てたお屋敷だったのでした。

 

ウィリアム・セシルには最初の奥さんとの間に生まれた長男トマスと

後妻との間に生まれた次男ロバートがおり、

彼らは現存する2つの侯爵家の始祖になっています。

 

長男トマスの家系はバーリー男爵の爵位を継承した後エクセター伯爵に叙され、

バーリーハウスもこの長男トマスが継承しました

(彼の子孫の第8代エクセター侯爵が現在の当主です)。

 

が、政治手腕は次男のロバートの方が長けていたようで、

ウィリアム・セシルの政治的立場は次男が引き継ぎました。

彼は後にソールズベリー伯爵に叙され、彼の家系からはヴィクトリア女王時代に

3度も首相になったほどの政治家(第3代ソールズベリー侯爵)も輩出しています。

彼の子孫の第7代ソールズベリー侯爵が現当主で、

現在もハットフィールドハウスにお住まいです。

 

ハットフィールドハウスは今でもソールズベリー侯爵家の持ち物なのですが、

バーリーハウスの方はちょっと複雑で、所有権はプリザベーション・トラストに移り、

現当主第8代エクセター侯爵はカナダ暮らし。

現在はトラストに指名された第6代エクセター公爵の孫娘家族が暮らしています

(今後も誰が住むかはトラストが決めていくそうです)。

 

と言うわけで、ウィリアム・セシル1人から侯爵家が2つも誕生して

400年以上経った現代まで継続していることになりますね

(ちなみにイギリスの貴族の序列は公爵→侯爵→伯爵→子爵→男爵なので、

侯爵はほぼほぼ王族関係の公爵に次ぐ2番目に高い階級です)。

 

と、前置きが長くなりましたが、百聞は一見に如かず。

いつも通り写真でお楽しみいただきましょう。

 

お屋敷というよりは宮殿と呼んだ方がしっくりくる規模。

 

 

 

 

珍しくキッチンから見学スタート(ホールから始まってキッチンで終わることが多い)。

 

 

 

 

 

 

アーチの奥は礼拝堂。

 

 

ビリヤードルームには歴代の住人の肖像画がかかっています。

 

 

 

どの部屋も天井が凝ってる。

 

ボウ・ルーム。

 

 

 

 

 

この赤い天蓋付きの小さなベッドには幼いヴィクトリア女王が泊まったことがあるそう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

食っちゃ寝したら牛になるよって絵?😆

 

 

ヘヴン・ルーム。中央にあるのは200kg近い純銀製のワイン・クーラー。

天国と言いつつ天井画も壁画もちょっと怖い。

 

 

地獄の階段。シンプルに怖い。

 

骸骨の死神とか飛んでるし。

 

 

 

柿右衛門。

 

こちらも柿右衛門。

 

 

 

 

中庭に面した壁の紅葉が見事でした。

 

 

 

 

 

 

 

ボウ・ルーム、ヘヴン・ルーム、地獄の階段は、映画「プライドと偏見」

「ダヴィンチ・コード」「エリザベス・ゴールデンエイジ」

などの撮影に使われたそうですよ。

観返さなければ!

 

 

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