質問として受ける事が多いので、以前にもステロイドのことは触れておりますが(⌘ 処方されている薬剤の減らし方)、改めて述べておこうと思います。

ステロイドは抗炎症ホルモンです。腎臓の上にくっついている副腎という臓器の表面側にある副腎皮質という臓器から分泌されるホルモンの一種で、通称が副腎皮質ホルモン(ステロイド)です。

炎症メラメラとは、壊れた部分を修理する時に起こる身体の反応で自然治癒力の一環です。

抗炎症ホルモンですので、炎症が起こっている場合には炎症を劇的に抑えます。しかし、炎症の原因に対しては無関係ですので、炎症の元凶があり続ける限り病気はくすぶり続けます。逆に、ステロイドが効く病気は炎症が基本だと思ってもいいです。

顔面神経麻痺のようなウイルス(種類は特定されてません)による神経炎は一時的な感染症ですから、ステロイドで炎症を抑えて神経の損傷を止めるという使い方は有意義です。

癌に対しても使われますが、一時的な効果を見る事はあっても治ることはありません。一時的に腫れが引く事によって手術がし易くなると言うならば有意義です。

脳腫瘍にも使われますが、浮腫を軽減するために使います。抗脳腫瘍効果はありません。脳が腫れてしまって手術まで時間がかかる場合には一時的に使う事は有意義です。

アトピー性皮膚炎は文字通り皮膚炎で皮膚が炎症を起こしています。膠原病(自己免疫疾患)も自分で自分の細胞を壊し続ける異常免疫状態です。リウマチ(関節炎)、バセドー氏病、クローン病(小腸炎)、潰瘍性大腸炎、血小板減少性紫斑病、白斑(しろなまず)、大動脈炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、特発性肺線維症、皮膚筋炎、、、きりがありません。果てしなく病名は続きますが、標的となる細胞が変わるだけの話しで基本は免疫異常の慢性炎症です。自分で壊して、自分で炎症を起こして、自分で治して、自分で壊して、炎症起こして、治して、壊して、炎症、治して、、、を延々と繰り返しています。

この悪循環の「炎症」に対してのみ緩和します。
ですから症状は劇的に治まります。
しかし、悪循環のサイクルは止まりません。
自分で壊すことを止めた時点で「治る」のですが、医学にはその術は存在しません

毎度申し上げますが、この事は医師免許を持つものであれば全員周知の事実であると言うことです。治らないのに使う理由は、他に医者ができる事は何も無いからです。ステロイドを使う事が唯一の手段です。治す方法が存在しない病院へ行って、治して下さいとお願いすることに意味は有りません。

短期集中や、一時的に使うのであれば副作用の心配はしなくてもいいでしょう。蚊に喰われた時に塗る軟膏がありますでしょ? 成分表をよく見て下さい。ステロイドが入っていますよ。 恐いですか? 恐くないです。痒いのは蚊の唾液に含まれる物質のお陰で炎症が起こっているだけですから、延々と続く物ではありませんからね。しかも小さい。

ステロイドは恐いという情報は国民へ行き渡っているように思いますが、これは「漫然とステロイドを使い続けた時に恐い」という解釈でお願いします。使い続ければ、必ず副作用は出ます。必ずです。使い方によってはリバウンドして病状が悪化しますが、使い続ければリバウンドも必ず起こります。もし副作用が完全に表面化した場合、元の病気なのか副作用なのかの区別すら困難となります。

世の中には、子供のアトピー性皮膚炎へいきなり最強のステロイド軟膏を平気で処方する医者がおります。

私から見ますと、あり得ません。

ステロイドは苦痛から一時解放してくれます。苦痛から解放されている間に、壊れた免疫能力を改善させる努力が必要になると言うことです。その方法は下記を参考にして頂ければと思います。基本は免疫システムの安定化です。免疫トラブルの程度が違うだけで 花粉症 アトピー 膠原病 への対策はほぼ同じです。重ければ対策を強化するという考え方でよろしいかと思います。
◆ アトピー性皮膚炎の対策


大切なことは、ステロイドを 何の目的で使うのか です。