主に 乳癌 と 前立腺癌 でよく使われるホルモン剤。
勘違いをされている方が多いので確認しましょう。


性腺は性ホルモンの刺激を受けて反応します。思春期の男女がその最初の変化を起こします。女性は排卵して受精準備に入り、乳房が大きくなっていきます。男性は精子を作ります。この時点で生殖が可能となりますね。

癌を含む悪性腫瘍という病気は、何処の細胞が悪性化するかという問題です。
その中で、たまたま、性腺が悪性腫瘍化したと考えて下さい。

しかし、卵巣癌、精巣癌、子宮癌の標準治療にホルモン療法はありませんので、性ホルモンの影響を加味した治療対象は乳癌と前立腺癌という状況です。


と言う訳で、性腺を刺激するホルモンが身体から出ていると、癌(乳癌・前立腺癌)が発達してしまうという状況となります。ですから、癌の増殖を促すホルモンを出させなくする、ホルモンに拮抗するなどの薬剤により、癌が増殖する刺激を減らしたり、止めたりすることが目的です。

ですから、癌を殺す為に使うものではありません。

癌細胞が増殖するホルモン刺激を妨げる抗ホルモン剤を使うのであって、癌細胞はそのまま残ります。ただ、癌細胞の増殖活動性が妨げられれば、前立腺癌における腫瘍マーカーであるPSAは下がるでしょう。

抗ホルモン剤は、手術まで増殖させたくない場合や、手術後の再発の予防したい場合に使われます。


前立腺癌の場合は殆どがホルモン感受性を持つので、強いて感受性の検査はされません。しかし、乳癌の場合は癌のホルモン感受性の有無を確認しなければなりません。感受性を持っている癌は7割ほどと言われており、率としては高いですが、感受性を持たない癌も3割ほど存在することが問題です。ホルモン感受性が無い場合、抗ホルモン剤は期待できませんので副作用ばかりを頂く事になります。

抗ホルモン剤で腫瘍が縮小するとしたら、増殖が止まっている内に自分の免疫で撃退したと考えた方がいいですね。主治医からも、その様な説明があるはずです。


*参照*
タモキシフェンは、抗エストロゲン薬です。乳がんは、エストロゲンに依存し増殖するがんなので、エストロゲンの作用を封じ込めることが、乳がんの再発予防になるのです。ところが、同じタモキシフェンが、子宮内膜に対しては「エストロゲン作用を持ち、内膜に増殖性の変化を起こす」というのです。
つまり、体がんを促進する方向に働いてしまうのです。したがって、タモキシフェンを服用している人は、定期的に体がんの検査を受けることを忘れないでください。 ~ がんサポート情報センター