(愛する由真の前では、アイドルのようにカッコよくありたい・・・  By石井 久)


     と、言うわけで石井である。職業・鬼長官。

     来る日も来る日も、我々の住まう日本国にて妖魔と戦う宿命だが、とある日、珍しく仕事が昼前に片付き、久しぶりに由真と夕食をともに出来た!!

     幸運なことに、私にも『百姓貴族』的な知り合いが出来た。彼は元々機動隊を抜けた『裏切り者E-15』の実弟であった。憎らしい男の面影こそあるものの、彼自身は、朴とつな30歳であった。

  ( しかも彼は北海道十勝の人だった!!すげーぜ、百姓貴族!!)

    そして、顔も知らない実兄の『特殊性癖』を知った彼は・・『やっぱり、全身の血を健全な誰かといれかえたい!!』と、号泣した。さすがに、私も可愛そうだと同情した。

    その後、朴とつな彼は罪滅ぼしとして、私と由真に、北海道産ホクホクじゃがいもを始めとする、美味しい北の幸を郵送してくれるようになった。

     実にありがたい!!

     と、言うわけで今日はホクホクじゃがいもカレー中辛を作ろうと意気込んで、包丁で皮むきしていた。

     その最中に、ふと、可愛いらしい由真が、あり得ないセリフを言った。


「もし・・・石井さまが新しく誰かを好きになったら・・私は、いつでも身を引きますネ・・・」


    びきーん!!!


    私は、一瞬で凍りついた。いや、フリーズって可愛いもんじゃない!!

    冴えないロボットのようにガクガクしながら、私は由真の方を見た。

「な・・何を言ってるんだ!?いきなり身を引くとか??」

    包丁をおき、あわてふためくまま、由真の両肩に手をおいた。

「お・・・お前以外の誰かを、好きになるなんて・・・今更・・・組織内では、『キング・オブ・ジェラシー』と陰口叩かれている私に、心変わりなどあり得ない・・つか、お前が思っているほど、私はモテない!!」

    由真の知らないところで、妖魔相手に残虐非道してる私だ。これを知られて捨てられたら、たまったもんじゃない!!

    しかし、由真も由真で、反論?する。

「でもぉ・・・人の心は・・・」

「安心しろ、私は『ひとでなし』だ!!もうほとんど人間やめているから!!」

    うわぁ!!自分でも何言っているんだか、意味不明だ!!

「?????」

     案の定、由真が『ナニイッテンダ、コノヒト』ってな目で、私を見てるしー!!

「とにかく・・・お前の友人のク◯パイフーから、『嫉妬に駆られて由真ちゃんを監禁するな!!』と、脅されてるし!!」

「・・・じ・・・自慢になりませんよぉ・・そんなネタ・・」

「お前に捨てられたら、私は廃棄物も同然だ。だから・・・お前こそ、何処にも行かないで・・・消えないで・・・」

「石井長官・・」

     宇宙一見苦しい醜態を晒した私。ふと、思いついて由真をお姫様抱っこした。目的地はベッドルーム!!

「この私をビビらせたお仕置だ、カレーより先に・・・」

「ひぃやああああああああ〜〜〜!!」


    このあと、由真が泣いて謝るまで、徹底的に可愛がってやった。カレーづくりは、そのまた後回しになったけれど・・・


    これでいいのだ!!<⁠(⁠ ̄⁠︶⁠ ̄⁠)⁠>


(今後も続く・・・)