「まずは肺機能検査からやりますねー」

「はーい」

 

滅菌された筒を口にくわえて、鼻をクリップで止められた状態で指示通り吸ってはいてと繰り返すらしい。


「これ、難しいんですよ~。私なんか2回くらい失敗しちゃって」

聴くと看護師さん自身も数年前に手術経験があるらしく、同じ検査を受けたことがあるみたい。

そういう話聞くと親近感湧くなぁ。
 

しかし、憂鬱だ。

昔から、肺活量には特に自信がない。
学生時代に受けた肺活量のテストでも、クラスで一番だった子の半分しかなかった。

もともと「吸う」という行為が苦手で、肺が弱いんじゃないかと疑り、かかりつけのお医者さんに診てもらった事がある。

 

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『たまに息苦しい感じがするんです。これなんなんでしょうかね…』

『そんなに気になる? じゃあ。レントゲン撮ってみようか』

『お願いします』

 

数分後。

 

『とってもきれいな肺してますよ。お見本にしたいくらい』

『そう、ですか…。ありがとうございました』

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実際苦しくなってるのに良い結果なのがなんとも腑に落ちなかった。

 

「ストレスかもしれないね」と言われた。

そんなにため込むタイプじゃないと思うけど無意識にたまっているのかもしれない。

子宮筋腫もストレスで大きくなるという噂も聞いたことがあるので(先生に聞くとそれはないらしい)、もうほんとこの世の中から全ストレス消えてほしい。


「まず、鼻をこのクリップでつまんでください」
「はーい」
「準備はいいですかー?」
「はーい」

「楽に吸ってはいてを繰り返してくださーい」

すーはーすーはー。


「321…できるだけ思い切り吸って~」

すうぅぅぅ。

「一気にはいてー! そうそう、できるだけはいてー」

はくぅぅぅ。

「もうちょっと頑張って! もうちょっと頑張って! がんばって! がんばって…最後まで吐き切って~」

 

 

はく、はく、は…く……もう無理……。

 

「…はい! いいですよー。 あら?」
 

グラフを見ると基準値を大きく下回っている。

看護師さんが話す前に悪い結果に違いないとわかった。

 

看護師さんは「おかしいなぁ」と言った感じでモニタのグラフを見ている。

 

「肺年齢97歳? そんな…」

「97歳かぁ…」

思った以上の悪い結果に2人は絶望した。

これ、あと何回やり直せば基準値に行くんだろう…。

 

「ほ、ほらこれ、難しいでしょ! 私も何回も失敗しちゃって! もう一回できます? ちょっと休みましょうか! ねっ!」

 

この看護師さん、優しいなぁ。

 

「すみません。肺活量に自信ないので…多分苦戦するかも…」

「次は大丈夫ですよ! もう一回いきましょう!」

 

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そのあと、4回目にしてようやく53歳並みの肺年齢という結果が出た。

実年齢プラス10歳だけど、最初に比べたら大分マシだ。

 

「何回もごめんなさい…!」

「いえいえ、看護師さんは悪くないです! 本当にすみません…何度もお付き合いいただいて…ありがとうございました…」

「こ、これでいいですかね? 最初から比べたら大分上がりましたし…」

「はい…大満足です…。これでお願いします…」

 

その後は予定通り心電図をとり、2回目のリュープリンを注射して全行程終了。

肺活量検査には苦戦したけど、予定通り明るいうちに帰れてよかった。