親子の関係について。
「本好きの下剋上」の二次小説を読んでいてジルヴェスターの父親としてのあり方はどうなのか?というものがあったのですよ。
彼は息子を次期アウブにしたかった。それは長子だから。
でも、ユルゲンシュミットの領地のアウブとしては子どもの中で魔力が一番多いものがなるという慣例がある。しかし兄弟で地位を争いたくないからはじめから父親が決めてしまうという暴挙なんですよ。
まぁ確かに長子と決めてしまえば争いは起きにくいのかもしれません。
世界の王室などは男女関係なく長子が多い。日本は少し違いますが、それでも男子の中で長子が跡継ぎ。
日本の庶民も昔からの跡継ぎは長子というものでした。
しかしたかだか庶民の家ならばそれでもOKですが国や、領地などのスケールで見るとただ単に先に生まれたから跡継ぎでいいのか?と思うのですよね。
親の中でも考えがまちまちで長男はいずれ厳しい世界に身を置くのだから子供時代はのびのび過ごさせるためにあまりきつく叱らないとかあるし、将来上に立つものとして厳しく指導するとか極端。
次男三男などもどうせ外の世界に出るからのびのびと、もしくは外の世界に出るだめに厳しくとこちらも結構両極端。
どちらも間違っているようであり正解であるように感じますが…
言えるのはどちらでも甘やかしはいけないということと、どちらも愛情を注ぐことは忘れてはならないということなんですよね。
この物語のジルヴェスターはとても中途半端な育て方をされます。
先ずは、どうしても男の子が欲しかった母親が最後に授かった息子であったから溺愛されます。
しかし父親は病弱のために普通の父と息子の関係は結べません。
貴族のそれも地位が高いと父と子といえどもしょっちゅう会うこともできません。
ジルヴェスターは出来が良い子供ではなかったために父親に褒められることも殆どない。
これでは性格形成に支障が出ます。
母親は次期アウブとしてひたすら自分に忠実に傀儡になるように育てます。子育てに父親の意見は何も入りません。息子が生まれるまで跡継ぎは最初の子である長女をとても厳しく育てますがやっとできた息子にあっさり跡継ぎを決め、長女を引きずり下ろし挙げ句長女の婚約をぶち壊し親よりも年嵩の相手との結婚を決めてしまう。まぁこれが後の禍の種になるのですが…
しかしこうやってまともに育てられなかったジルヴェスター。
本来の性格自体は素直で優しくはあるが自分で物事を考えない、相手の事を思いやる事も出来ないそんな人間に育ってしまいます。そして権力者に多い尊大な人物になるわけです。
そんな人間がいくら子供ができたからと言って子育てがまともにできるはずはないのです。
人の痛みを知らないと言うのはとっても致命的ですしね。
ジルヴェスターはただアウブの地位に決まっていた姉から虐められた記憶を持っているのでとにかく息子に早々に次期アウブとしてしまう方がいいだろうと判断してしまうのです。
そしてジルヴェスターは初めての子供であるヴィルフリートを妻の手から取り上げて母親に渡してしまう。これも本来なら考えられない。
この母親は自分の子供は駒にしか思っていないので孫に対しても同じだと気がついていない。
ここで又同じ子育てが繰り返されてしまう。この母親は息子ジルヴェスターが結婚に関しては自分の思う通りにならなかったからそうならないようにと孫を息子以上に傀儡に育てます。
三つ子の魂百までではないけど幼少期の子育ては重要なのに。
そんな事でジルヴェスターもヴィルフリートも親子の関係性が希薄でよくわかっていない。
一般的には褒めて育てるのがいいとは言われてますがこれも結構難しい。
私も2人息子を育てましたが叱ることのほうが多かった。
まぁ日本人なので相手の立場になって考えて行動しなさいとはしつけましたが…
そしてジルヴェスターは実子だけではなく養子まで取るのに父親としては最低を突き進みます。
普通は親の背中を見て自分も父親になるところがあるのにそれが出来ない人はどうやって父親としてやっていくのだろう?
私の夫は次男。それも昔気質の農家の次男だから私から見たらスペアとして育てられた。それに親子のふれあいも殆どない状態だったから父親になるには手探りで時間がかかった。
今はイクメンがもてはやされるけどただ食べさせたり身の回りを気遣うことだけが子育てではないのですよね。本当に難しい。
カウセリング教室などで育成歴が重要だと教えてもらうけどわりと母子の関係が多い。けど…父親もとっても重要だと思うのですよね。
子供は厳しくそして優しく、愛情を注いで育てるものと言うのが本当ではないかなぁ?
まぁ私はもう終わってしまったけど…