不可知の雲の名 | 同胞たる、おっとりとした頬を求めて!

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2023年8月20日アマゾンより「実践形而上学命題詩集 不可知の雲」(ペーパーバック版、電子書籍版)上下巻を刊行しました。

 


この本のタイトルの一部「不可知の雲」は、14世紀末のイギリスで瞑想のための指導書として書かれた作者不詳の「不可知の雲(The Cloud of unknowing)」から採ったものです。


キリスト教神秘主義の不朽の書と言われているようですが、一度も読んだことはありません。


この言葉の持つ力強さにひかれ、本書のタイトルの一部に採用させていただきました。


不可知の雲とはなんでしよう?


字義どうりに訳せば、「知ることができない雲」です。


雲と言って、あなたはなにを思い浮かべることでしょう。


自然現象である雲について、確かに科学の上では理解されます。


しかし、あなたは、この雲とあの雲とどう違うかと問われれば、どう答えることができるでしようか。


この雲とあの雲とは違う。

それは、考えずともわかります。


しかし、なにが違うのか、あなたは知りません。


あれでもない、これでもない、この雲について、あなたはなにも知る処のものがないのです。


その雲はつねに変化し成長するものの象徴です。


あなたが知らぬ処で、あなたを突き動かしているものを表しています。


あなたが知らぬ処で、あなたを突き動かしているものとはなにか。


本書では、あなたをして無意識のうちに思惟させているものと捉えます。


あなたを無意識のうちに思惟させているもの!


これこそが本書のテーマです。


この無意識のうちに思惟させているものがなにかを感じ取ること。


それが他の本にはない、本書だけに与えられた意味であり、そのことを本書では、仮に「実践形而上学」と呼んでいます。


 


上 巻


本書の中心主題
第一部 古代形而上学命題詩集(哲学第一部)
1 なにものにもとらわれぬ自身の自然であるものを了解する処のものに、この世界に現されるからだ(アルケー~ピュシス)~タレスの主題による
2 この世界から限られる処のものに他と異なるものに生きられるとともに、限られない永遠の命であるものに向かって消滅するからだ(プセウドス~ペラス)~アナクシマンドロスの主題による
3 世界のあまたから、自身の部分であるものを受け取るからだ(パトス~メロス)~アナクシメネスの主題による
4 互いをなくてはならないものに生きるからだ(ト・エク・ティノス、エイナイ~アナンカイオン)~ピュタゴラスの主題による
5 自身が動ずることなく肯なわれる処のものに基づかれるからだ(アイティオン~オン)~クセノパネスの主題による
6 他のなにものでもない、このものに永遠に保ち持たれるからだ(エケイン~カト・ホ)~パルメニデスの主題による
7 自身の思いなしを疑うことで、より生きるからだ(ポソン~アンティケイメナ)~エレアのゼノンの主題による
8 欠ける処のない自然から余す処なく生きられるからだ(ホロン~テレイオン)~メリッソスの主題による
9 毀たれることで、否むことができぬものに生きられるからだ(ウーシア~コロボン)~ヘラクレイトスの主題による
10 もとから自身があろうとするものを持つ処のものに生きるからだ(ヘクシス~デュナミス)~エンペドクレスの主題による
11 自身がこの世界に留め置かれているものを、分かつことができぬ、一なるものに生きるからだ(ディアテシス~ヘン)~アナクサゴラスの主題による
12 今生、同じものを生きる処のものに結ばれたからだ(ゲノス~タウタ)~レウキッポス、デモクリトスの主題による
13 自身の欠ける処のものに成り立たせられるからだ(ストイケイオン~ステレーシス)~ソクラテスの主題による
14 自身の了解を超えた、この自分ではない自分を生きるからだ(ヒステロン、プロテロン~シンベベーコス)~プラトンの主題による
15 自身から分かつことで、他に直にかかわるからだ(プロス・ティ~ポイオン)~アリストテレスの主題による

第二部 中世形而上学命題詩集(神学第一部)
1 自身がこの世界に現されている処のものを了解するからだ(ピュシス~アルケー)~ヨハネス・スコトゥス・エリウゲナの主題による
2 自身が信じ、基づくものから、自分であるものに生かせられるからだ(オン~アイティオン)~クレルヴォーのベルナルドゥスの主題による
3 手放すことで、もとから自身があろうとするものに瞬時に生きられるからだ(デュナミス~ヘクシス)~マイスター・エックハルトの主題による
4 空しくあればあるほど、否むことができぬものから余す処なく、欠ける処のないものに充ち足らせられるからだ(テレイオン~ホロン)~アッシジのフランチェスコの主題による
5 仮の自分ではなく、真の自分であるものに生きられるからだ(シンベベーコス~プロテロン、ヒステロン)~ウィリアム・オヴ・オッカムの主題による
6 否むことができぬものから直にかかわられる処のものに、他から分かたれた自分であるものに生きられるからだ(ポイオン~プロス・ティ)~マルティン・ルターの主題による
7 固有の自分が成り立たせられるのに欠けるものに生きられるからだ(ステレーシス~ストイケイオン)~ペトルス・アベラルドゥスの主題による
8 他のなにものでもない、永遠の命であるものに保ち持たれるからだ(カト・ホ~エケイン)~ドゥンス・スコトゥスの主題による
9 否むことができぬものに毀ち生きられるからだ(コロボン~ウーシア)~カンタベリーのアンセルムスの主題による
10 段階的に受け取る、自身の部分であるものに生きられるからだ(メロス~パトス)~ボナウェントゥラの主題による
11 互いが他から分かたぬ処のものに、同じ一なるものに生きられる類似的なからだ(タウタ~ゲノス)~トマス・アクイナスの主題による
12 より生きられる処のものに否まれるからだ(アンティケイメナ~ポソン)~ニコラス・クザーヌスの主題による
13 この世界に具体的に留め置かれる処のものに、分かつことができぬ、一なるものに生きられるからだ(ヘン~ディアテシス)~サン・ヴィクトール学派の主題による
14 自身が先んじられるものから、なくてはならないものに生きられるからだ(アナンカイオン~ト・エク・ティノス、エイナイ)~シャルトルのティエリーの主題による
15 他と異なる、限られた命であるものに生きられる固有のからだ(ペラス~プセウドス)~ヒッポのアウグスティヌスの主題による
附録 異端の身体の形而上学~キリスト教異端思想
(490頁)

 

 

下 巻
本書の構成と目論見
第三部 近代形而上学命題詩集(哲学第二部)
1 自身が生きられているものを問う処のものに真の自分であるものに生きられるからだ(ストイケイオン~ステレーシス)~判断中止、モンテーニュの主題による
2 とらわれなく、ただ真実に基づかれる処のものに生きられるからだ(プセウドス~ペラス)~イドラ、フランシス・ベーコンの主題による
3 自身が生きられているものを毀つことで、否むことができぬものに生きられる透明なからだ(ウーシア~コロボン)~コギト、デカルトの主題による
4 否むことができぬものがあなたを毀ち生きることにおいてのみ、否むことができぬ自分であるものに生きられるからだ(ウーシア~コロボン)~機会原因論、マルブランシュの主題による
5 世界のあまたのものを通して、否むことができぬものと一に生きられるからだ(ゲノス~タウタ)~汎神論、スピノザの主題による
6 互いが分たれながら、一なるものに協働するからだ(ゲノス~タウタ、プロス・ティ~ポイオン)~モナド、ライプニッツの主題による
7 日々自身の部分であるものを受け取る処のものに、自分であるものに生きられるからだ(パトス~メロス)~タブラ・ラサ、ロックの主題による
8 否むことができぬもののうちでのみ自分であるものに生きられるからだ(ゲノス~タウタ)~唯心論、バークリの主題による
9 自身が生きられている世界をねつ造するからだ(プセウドス~ペラス、ヒステロン、プロテロン~シンベベーコス)~知の限界、ヒュームの主題による
10 自身がこの世界から生きられる処のものにおいてのみ否むことができぬものを生きるからだ(パトス~メロス、ウーシア~コロボン)~実践理性批判、カントの主題による
11 この世界からより生きられる処のものに世界を創造するからだ(ポソン~アンティケイメナ)~自我による世界の弁証法的創造、フィヒテの主題による
12 世界のうちに自身が生きられるものを認め、自身のうちに世界が生きられるものを認める処のものに、自分であるものに生きられるからだ(ゲノス~タウタ)~同一哲学、前期シェリングの主題による
13 互いがより肯われる処のものに否まれるからだ(ポソン~アンティケイメナ、アイティオン~オン)~世界の弁証法的発展、ヘーゲルの主題による
14 この世界とはかかわりなく、ただ他から分かたれた自身のみから生きられるからだ(プロス・ティ~ポイオン)~厭世主義、ショーペンハウアーの主題による
15 この世界が生み出されてくるものを自身の事柄として生きるからだ(ヘクシス~デュナミス)~デミウルゴス、後期シェリングの主題による
16 誰もが生きられているものから自身を分かつことで、他の誰でもない、この自分であるものを生き始めるからだ(プロス・ティ~ポイオン、エケイン~カト・ホ)~実存、キェルケゴールの主題による
17 この自分であるものから限られなく生きられるからだ(ウーシア~コロボン、ヘクシス~デュナミス)~ニヒリズム、ニーチェの主題による
18 自身が生み出されてくるものを了解する処のものに、この自分を生きるからだ(ヘクシス~デュナミス)~深層心理、フロイトの主題による
19 自身の了解を超えて生きることを決意するからだ(ヒステロン、プロテロン~シンベベーコス)~沈黙、ヴィトゲンシュタインの主題による
20 限られた命であるものに生きられるからだ(プセウドス~ペラス)~現存在、ハイデガーの主題による
第一部から第三部までのまとめ

第四部 現代形而上学解題詩集(神学第二部)
1 現に自身が生きられているものを通して、あらかじめ自身の欠けるものに生きられている(ステレーシス~ストイケイオン)~モンテーニュへの回答
2 限られることで、自分だけが生きることができるものがある(ペラス~プセウドス、カト・ホ~エケイン)~ベーコンへの回答
3 もとから自身を毀つことができぬものに生きられている(デュナミス~ヘクシス、コロボン~ウーシア)~デカルトへの回答
4 あなたなくして否むことができぬものに生きられぬからだ(コロボン~ウーシア、アナンカイオン~ト・エク・ティノス、エイナイ)~マルブランシュへの回答
5 あなた自身を世界自身であるものに生きている(ピュシス~アルケー)~スピノザへの回答
6 一なる命であるものに生きられながらも、他と異なるかけがえのない命を生きている(ペラス~プセウドス、タウタ~ゲノス)~ライプニッツへの回答
7 受け取ることができなかった、自身の部分であるものからも生きられている(メロス~パトス、ステレーシス~ストイケイオン)~ロックへの回答
8 この自分に留まることもできれば、この自分を離れて生きることもできる(シンベベーコス~ヒステロン、プロテロン)~バークリへの回答
9 自身の了解を超えて、必然的な自分であるものに生きられている(シンベベーコス~ヒステロン、プロテロン)~ヒュームへの回答
10 あらかじめ否むことができぬ自分であるものに生きられている(メロス~パトス、コロボン~ウーシア、アナンカイオン~ト・エク・ティノス、エイナイ)~カントへの回答
11 あなたを否むものは、あなたをより自分であるものに生かせる存在である(アンティケイメナ~ポソン、シンベベーコス~ヒステロン、プロテロン)~フィヒテへの回答
12 この世界はあなたによって創造されている(タウタ~ゲノス、アナンカイオン~ト・エク・ティノス、エイナイ)~前期シェリングへの回答
13 より肯われる処のものに否まれるだけでなく、分かつことができぬ一なる自分であるものにも生きられている(ヘン~ディアテシス、アンティケイメナ~ポソン、オン~アイティオン)~ヘーゲルへの回答
14 自身をこの世界につねに保ち持つものから、他のなにものでもない、このものに生かせられている(カト・ホ~エケイン)~ショーペンハウアーへの回答
15 この世界は、あなたが生み出されてくる処のものに生きられている(デュナミス~ヘクシス)~後期シェリングへの回答
16 否むことができぬものから直にかかわられる処のものに他から分かち毀つ処のものに生きられている(ポイオン~プロス・ティ、コロボン~ウーシア)~キェルケゴールへの回答
17 命の原理であるものから、自身の了解を超えた自分であるものに生きられている(コロボン~ウーシア、シンベベーコス~ヒステロン、プロテロン)~ニーチェへの回答
18 この世界から自身が生み出されてくるものに生きられている(デュナミス~ヘクシス、ピュシス~アルケー)~フロイトへの回答
19 自身が生き得る自然であるものによってのみ、唯一この自分であるものに生きられている(ピュシス~アルケー)~ヴィトゲンシュタインへの回答
20 この自分であるものだけでなく、他の自分であるものを生きることもできる(ペラス~プセウドス、シンベベーコス~ヒステロン、プロテロン)~ハイデガーへの回答
補足 自身が現に生きられているものと、意識することで生きることができるものから生きられている~量子力学の世界の十一次元解釈から(アルケー~ピュシス、ヒステロン、プロテロン~シンベベーコス、カト・ホ~エケイン)

(493頁)

 

実践形而上学命題詩集「不可知の雲」エミシヲ著

上巻(ペーパーバック版2700円、税込2970円、送料別、電子書籍版1000円)

下巻(ペーパーバック版2700円、税込2970円、送料別、電子書籍版1000円) 

 

 

 

 

 ※電子書籍版は低価格で利用しやすく、改定時にもすぐ反映されるのでよいですが、できればペーパーバック版をお勧めします。紙の本としていつでも手に取ることができる方がなによりよいことだと思うので。