小説「あらかじめなる女」(仮題)の第2節のテーマは、「あらかじめ熱くあるものに息づかされている」です。
ここで取り上げるのは、否定しようにも否定することのできない、内なる火についてです。
火を見るよりも明らか、という言葉がありますが。
あなたが息づいているのも、火があなたの中で燃えているからです。
あなたを息づかせている火を燃え立たせているもの、すなわち、そのエネルギーはどこから出ているのか。
それは、命そのものからです。
命とは、火であるといってもいいかもしれない。
あなたの内で燃えている火です。
逆に、内で火が燃えていないものは、死んだもの。もしくは、命ではないものということになる。
また、内で火が燃えているものは、すべて命なのです。
火の特徴。それは、熱を持っているということです。
そして、それこそが、あなたが生きていることの証です。
熱を通して、あなたは、あなたの生を感じるのです。
あなたは、夜の営みの際にもよく汗をかいていて、恋人がしきりに熱がり、あなたの汗でまみれていたことを思い出します。
恋人は、肌と肌の触れあいを通して、あなたが熱い命を内に持っていることを教えてくれたのです。
ふと、自分の奥底にはマグマのような、熱い場所があって、相手の男性を焼き尽くすのではないかという妄想が浮かんだものでした。
火山は、よく女性に例えられます。ハワイの火山は、ペレという女神でした。
ひょっとして、恋人は、あなたの奥底のマグマの熱に恐れをなして、去っていったのではないであろうか。
生命力とは破壊力のことでもあるかもしれない。
自身の命を維持するために、あなたは、他の命を破壊し、内に取り込んできたのです。
天地の創造主もまた、創造するのと同時に破壊してきたのである。新しいものを創造するためには、古いものを破壊しなくてはならない、というように。
生きるとは、そのような破壊と創造の繰り返しなのではないか。
でもそうして破壊しつくされずに、継承されるものがあるのもまた事実です。
継承されるものは、新しく創造されるものの核になっているのです。
それは、破壊し、創造するあなたの心そのもの。
あなたの心とは、あなたがよりよく生きるために、あなたはあなたがよりよく生きることを阻んでいるものを破壊し、あなたがよりよく生きるために必要な場所を創造するということです。
あなたの恋人は、あなたがよりよく生きるためにあなたの熱によって焼き尽くされ、灰となった後は、あなたは、やはりあなたがよりよく生きるための新たな恋人を求めなくてはならないのです。
でも、あなたは、そうやって、つねに自分がよりよく生きるために、恋人を破壊し、新たな恋人を創造しつづけなくてはならないのでしょうか。
ずっとこの人という人を、自分は持つことはできないのでしょうか。
あなたの内なる火は、妥協を許しません。そして、あなたが永遠にあなた自身の創造主であることを求め続けているのです。
となると、一生ひとりの異性と、共に生き続けることは、どんな意味があるのでしょうか。
それは妥協なのでしょうか。内なる火が弱くなるということなのでしょうか。
あなたは、そんなことを思いながら、今朝、自分自身の熱で自分が汗まみれになっていた寝床を離れたのでした。
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