現在キンドルストアで公開中の「プロメテウス」三部作の一部を公開していきたいと思います。
今回は、「プロメテウス 詩篇第1部 精霊たちとの対話」の冒頭の部分です。
今回は、「プロメテウス 詩篇第1部 精霊たちとの対話」の冒頭の部分です。
プロメテウスは、古代ギリシアの神話で、ゼウスをあざむき、人類に火を与えたものとされています。人類神プロメテウスが万能神ゼウスから縛められ、その後解放される物語に、互いに対等なものどうしの絆であるものと、自分を超えて自分を生きるものとの葛藤を表現しました。
コーカサスの岩山で
「非情にも、わたしをこの荒涼とした場所に繋いだ、主なる貴方よ。
貴方は、わたしを未来永劫の苦しみに繋いだつもりであろうが、この苦しみにわたしが耐えられないわけではない。
なぜなら、貴方からわたしが与えられている苦しみは、主なる貴方がわたしに与えているつもりのものにほかならないからである。
貴方は、わたしを永劫の苦しみに苛(さいな)ませているように見せているが、ほんとうに苦しみに苛んでいるのは、むしろ、わたしにかくのごとき苦しみを与えている貴方のほうなのである。
それは、わたしなくして、貴方が未来永劫、生きることはないからである。
わたしを苦しませることは、むしろ貴方自身を苦しい瀬戸際に追い込んでいるのである。
わたしは、貴方の底知れぬ孤独を知っている。
貴方が、どうして数多のものを創造しなければならなかったか、その理由がよく理解できる。
数多のものを創造した創造主であるにもかかわらず、自身が創造したものを生きることができない、貴方の無念さがとてもよくわかる。
さあ、語るとしよう。
自身と対等なものを持つことのない、貴方の永遠の孤独のことを。」
はじめ、
なにもなかった。
ただ無があった。
無があるとはおかしな言い方である。
無もまた有の一種なのである。
そこに意思が現れた。
またまた、とても奇妙なことである。
なにもないはずのところに、なにかが現れることはありえないから。
だが、それは自明のことである。
なぜなら、
われわれがここにこうしてあることは紛れも無い事実であるから。原因のない結果はありえない。
あらゆる存在の原因とは、あらゆるものが個々に在らせようとするところの、意思の現われなのである。
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「プロメテウス」三部作がキンドルストアより発売されています。
互いに対等なものどうしを生き合うものと、自身を超えて自身を生きるものとの対立と調和の物語です。
キンドルストア でご購入されるか、または、こちらの自著専用サイト「イリエノコ出版 」よりご購入ください。