ベートーヴェンピアノソナタ全集

全て聴き終わった


29番聴いた時は 孤高だな と感じたし

32番のトリルなんて どうやって弾いてるんだ?と思った


第九やミサ・ソレムニスを書いていた晩年の作品とあってか

集大成みたいなものは感じられた




バッハのフーガとか

リストのピアノ編曲集とか

腕が三本も四本も要りそうなピアノ曲はいっぱいあるが

ベートーヴェンにも言えそうな気がした



自分で作っている身としては

楽器が弾ける事の重要性を身に染みて感じているが

きっとベートーヴェンもピアノの名手だったのだろう

映画などでは

現在のピアノフォルテに近いピアノが発明された時

難聴の為 ピアノに耳を押し当てて音を確かめているシーンがあったが

青年時代には既に 変奏の凄まじさの頭角を現していたらしく

最後のピアノソナタの終曲 第二楽章が 変奏曲だったのも

なんかベートーヴェンらしい気がした

途中 ジャズみたいだったのも興味深い




曲作りにかまけて 私は バッハのインベンションをサボっているが

作る過程で 流れを感じる為には

ミスタッチなしで ひらめいた音を弾いて録音する必要がある


ひらめきを忠実に音にするスキルが必要で

それはベートーヴェンのように

即興で変奏が出来るくらいの腕があれば

さぞかしもっと柔軟に作曲出来るだろうなと思う


ベートーヴェンのピアノソナタと平行して

私のシングル候補曲も 30曲目まで出来た


目標として

今年中に100曲目まで作る勢いを掲げ

2日に1曲ペースで書いている


まだ スタジオの方の感想は返ってこない

英会話と同じようなもので

音楽も 聴いてもらって客観的な意見を交えて初めて

独自性を得る訳で


私の学生時代の英語の授業のように

文法だけ教わって会話として使わなければ

英語が喋れるようにはならないのと同じ


音楽の授業が Z世代のアンケートによると

最も必要ないと思う教科らしいが


音を鳴らして聴いて初めて

ドレミが分かる訳だし

リコーダーを習うのも 音階やら音程やら

音楽の基礎を身に付ける目的があるらしくて


まあ、授業でピアノは習わないのだとしても

気づかないうちに音楽を身に付けるのが授業の目的らしくて



義務教育で西洋音楽が教えられるまで

明治時代の日本人のソルフェージュ能力は

絶望的に酷かったらしいから


確かに 音痴な人や音楽が苦手な人には

授業で人前で歌わされるのは拷問なのだろうし

絵心のない人や手先が不器用な人には

図工や美術の授業は拷問なのだろう


私も正直 一人で皆の前で歌わされるのは嫌いだったし

クレヨンで絵を描くまでは得意だったが

アカデミックな技法で水彩画を描かされるのは嫌いだった


ただ 私にとってだけ言えば

本当に必要だったのは 数学でも英語でもなく

コミュニケーションの方が大切だった気がする


コミュ障にとって

コミュニケーションは自然と身に付くものではなく

後天的に学習が必要で


英語も 文法ではなく

会話を出来るようになる能力が必要だったと思う

かろうじて 単語さえ分かれば 英文も読めるが

私には 英会話は無理


英語圏に引っ越しして

嫌がおうにも使わないと生きていけない環境にでもしなければ

喋れるようにはならないだろう




私は音楽に於いては

ソルフェージュとか 合唱とか

オルガン教室とか

後に後天的に 楽典とか 音楽理論を独学でかじったが

文法を頭で考えながら音楽活動している訳ではなく

耳と感性と経験から

無意識に文法が分かるようになってきた人間なので


最近つくづく 英会話が出来ない原因を痛感するのだ


耳に入るだけでなく

聴くという事は

分かるという事と不可分で


ベートーヴェンのピアノソナタが

音楽的に分かるようになれてきたのと

似ている



漫画にだって文法があって

その証拠に

私の母は 漫画を読む能力がない


手塚治虫の新宝島で

漫画が文法を獲得したという逸話を耳にした事がある

私は読んだ事がないけど


子供の頃に 無意識に漫画の文法を分かるようになっていたようだ


理論的に説明は出来ないけど

多分 音楽理論も同じで

音大に行って理論的に理解すればそれは凄い事だろうが

私は 和音を文法で説明出来ないし

転調の仕組みも口や記号では説明出来ない


ただ、身体で感じる事は出来るようになった




ベートーヴェンのピアノソナタを通して聴いて

そんな事をふと思った



















一つだけ選ぶのは難しいけど

テンペストが好きかな



















シングルという意識をしない頃書いた曲

ABサビ という概念ではなく

ABACABAみたいなロンドの概念に近い

シューベルトのリートは勉強してたけど

多分 今 矯正的にシングル作ってるだけで

本来 私は シングル向きの人間じゃないのかも


と自分の曲を内省的に見る