私の完全なる勝手な思い込み、妄想、願望


それらが見せた、ただの幻想



幻想だったのだろうか


私が夫亡き後に

生涯最後の恋になるかもしれないと

本気で好きになった人は


ただの、どうしようもないクズ男だったのか



いつの時代も世の常で

自分のものになるまでは、とても熱心に口説いてきて


手の中に落ちたら

深い関係ができた途端に

釣った魚には餌をやらなくなる男


流石に彼は、そこまで現金ではないけれど、


それでも言うことが微妙に変わってきたのは確か。


亡妻のこともそう。

他の元彼女や女友達のこともそう。



確信犯なのか、意図は無いのか、

それすら私には分からない。


深いシンパシーを感じて、運命の人だと思ったのは

私の完全なる勘違いだったのか


そんなに私は見る目がないのか


こんないい年をして……


くやしい。

くやしい。ずっと一人相撲をしている感じ。


彼の手の上で、コロコロ転がされている感じ。



もっと簡単だと思ってた。

もっと簡単に距離を縮められると思ってた。


こんなに嫉妬に泣いたり

彼の本心がわからなかったり

こんなに複雑で難しいことになるなんて。



自分の心の中で妄想しているだけの時は良かった。


独りよがりで勝手に盛り上がって。


彼も私と同じで

本当はさみしいはず。


突然伴侶と引き離されて、

魂の拠り所が欲しいはず。


それは誰でもいい訳ではなくて

共鳴、共感し合える

そんな相手を、パートナーを探しているはず。


だから、あんなに熱心に

あんなにマメに私に近付いてきた。


さらに、私をリスペクトしていると言うような事まで言ってきた。


年齢がいってからのパートナーシップには

信頼と尊敬が必要不可欠


だから、「私を尊敬」のワードが出た時に、

私は、もう関係を結んでも大丈夫と思った。


少し時期尚早かとも思ったが。


もう関係を進めても大丈夫と判断した。



その時に思った

もしも進んで、駄目だったら?


駄目なら駄目で仕方がない

見る目がなかったと諦めて

次に進むしかない


もう失うものは無いんだし、


あまり時間も無いのだし。


たとえ、この恋が思い通り進まず

私が傷付くことになったとしても、何も無い第二の人生より、

こんな色っぽいことがある人生の方がずっとマシ。


そう思って始めたことなのだから


今更、引き返すなんて………

できない。



それにしても、ここまで彼を好きになるなんて



女は寝たら終わり。

寝れば寝るほど、相手のことが好きになる


それは、若くても若くなくても、

女性に当てはまるセオリー。


ここまで彼を好きになるのは想定外だった。



好きになり過ぎるのは、恋愛シーソーゲームでは不利になる。