こんばんは。

晴天に恵まれた関東地方のGW。

旅行でリフレッシュして参りました。


さて、旅から戻りましたら

英国王立刺繍学校の校長より

嬉しいメールが届いておりました。

たくさんの方がすでにご存じと思いますが、

今回のロイヤル・ウエディングのドレス製作に

日本人留学生の方が携わられたとのお知らせでした。


また、ご本人からもメールを頂戴いたしました。

本校より遠く離れておりますのに

お気にかけていただいて、何より嬉しく思いました。


さて、本日は日本分校のクラスの日で、

やはりロイヤル・ウエディングのことが話題に。

その時に、「分校の皆様も、ドレスの製作に参加された方と

同じコースで今学ばれているのですよ。名誉なことですね。」

と、お話しさせていただきました。


学校のコース内容について、

ちょうど良い機会なので、簡単に書いてみたいと思います。


<Apprenticeshipの終了とFoundation Degreeの発足>

かつて私が学んだApprenticeship(職人養成3年コース)は

伝統刺繍の職人の技術を習得し、刺繍のプロとなるための

人材を育成する、長い伝統を持つコースでしたが、

2008年で終了し、代わりにFoundation Degreeという

新しいコースが誕生しました。

英国王立刺繍学校自体は、もともと専門学校のようなもので

公的な教育機関ではありませんから、

Apprenticeshipを卒業した際の資格も、

学校が独自に認可したもので、公的なものではありません。


Apprenticeshipが終了し、新しくFoundation Degreeを発足する際、

イギリスの大学の教育課程としての

公的な認可を受けるために、カリキュラムを大幅に変更しました。

その結果、刺繍をアートの表現の一つの手段として

個性の表現を伸ばすことに重点が置かれ、

コンテンポラリーな要素の強い内容のコースとなりました。

また卒業した際には、イギリスの大学の公式な卒業資格が

取得できるようになりました。

このコースでは、現在日本人の方が一名学ばれています。


<Certificated Courseの内容の変化>

Apprenticeshipが終了し、Foundation Degreeでは

それまでのような技術の習得に

膨大な時間を割くことができなくなった結果、

Certificated Course(技能認定コース)の内容もまた

2009年から大きく変わりました。


学校の中にはスタジオという部門があり、

ここで外部からの注文製作や古いお品の修復などを行っております。

今回のドレスもここで製作されました。


かつてApprenticeshipのあった頃は、

Apprenticeshipの生徒が職人の見習いとして

このスタジオで作業をしていました。

しかしコースが終了してしまったので、

学校はスタジオで作業のできる人材を確保するために

Certificated Courseの内容の幅を広げることにしたのです。


<Diploma CourseとAdvanced Diploma Courseの新設>

2008年までは、Certificated Courseの生徒は

スタジオに許可なく出入りすることはできず、

作業に参加することもありませんでした。

Apprenticeshipとの間には、学ぶ技法の幅や深さにも

大きな厚い壁がありました。


2009年からは、Certificated Courseで従来の基本の4技法を学び

Diploma Courseの後でAdvanced Diploma Courseに進めば

それまではApprenticeshipでしか学ぶことのできなかった

高度な技法も、履修することができるようになりました。

また、スタジオでの作業に参加することもできるようになり、

以前よりも内容的にレベルが高くなったという印象です。


<まとめ>

Apprenticeshipのコースの中でも、表現能力を養い、

個性を表現するアート的な要素はありましたが

技術の習得に大きな比重が置かれていたので、

デザイン力の習得はやや中途半端なところがありました。

Foundation Degreeで、刺繍の技術の完成度のみにとらわれず、

自由な表現力を伸ばすことで、どんな新しい人材が生まれ、

新しい作品が見られるか、ワクワクしています。


またそれまでApprenticeshipの中でだけ受け継がれてきた伝統技術が、

Certificated Courseに取り入れられたことで

よりたくさんの方に開かれたことも、大きな意義があると思います。

そういった可能性が広がった今のタイミングで、

Certificated Courseに学ばれている方、またこれから学ばれる方は、

とてもラッキーだと思います。


<これからのRSNと日本>

この度のロイヤル・ウエディングのドレス製作に

Diploma Courseの日本人の生徒様が参加されたことで

英国王立刺繍学校の存在が、

日本でも知られるきっかけになったと思います。

Foundation DegreeそしてDiploma Courseで学ばれている日本人の生徒様、

日本の分校の生徒様、またこうしてブログをお読み下さっている方々の

刺繍を通じたご活躍により、日英文化交流の輪が

これからも豊かに絶え間なく続いていきますことを

心より願っております。


<ヘッド・ドレス型紙作りの様子です>
英国刺繍のある暮らし