咲。
殻を破り、
小さな手を覗かす。
上を目指して、
地上へ向かい立ち。
下へ根を張り、
水路を探り伸ばす。
風に飛んだ綿や羽、
いつか植えられた苗も。
土や石を押しのけて、
月が照らす方へ。
雨に流れた種や枝、
あの日に落とした実も。
かぶる泥を掻き分け、
空が広がるまで。
瞼越しに伝わる陽の色は紅く、
強張る足に優しい湧き水の脈。
曲がった指先を伸ばしながら、
真っ青な天をも掴んでみせる。
咲かせる我に、
あます限りの光を照りかざせ。
咲かせた我に、
とどく限りの命を漲りわたせ。
ここに産まれた草となり、
ここに伸ばした木となり、
ここに日出ずる関となる。
寿く道に、
讃美の花が響く。
咲くように泣いて、
咲くように笑う花。
咲。