実。
実へと。
手を伸ばして、
大きくみのった実まで。
季節を重ねて、
ようやく熟れた実まで。
照った陽にも、
凍った霜にも負けず。
実へと。
それは可能性ではなく
未来。
必ずある年月の功。
いつか、
幼少時に見上げた
柿、それとも蜜柑。
つま先に
掛かった体重をも
忘れて伸ばした手。
赤く色づき
熟れて落ちる頃を
待ちわびた年月。
暑い射光に
輝いた深緑と、
沁みる摂氏に
絶えた枝。
物欲しげに
見上げた木の実は、
未来。
いま、
見上げる木の実。
それは、
可能性ではなく
未来。
熟れた頃に、
また会える。
実。