「戦争の記憶と記録を語り継ぐ映画祭」で2本観に行きました。13回目を迎えるそうです。
毎年会場を変えての開催で、今年はシネマヴェーラ渋谷。 
渋谷駅からハローウィンの混雑で有名なスクランブル交差点を抜けて、東急デパートの本店があった方角に歩を進めます。




上映映画の殆どがビデオ化やDVD化されていないそうです。





12日「あした輝く」は50年前の映画。鑑賞後のトークショーでは、浅田美代子さんも50年ぶりに観たと仰っていました。今もあの可愛らしさは健在です。
あらすじは、敗戦後にロシア軍に連行された夫の安否が分からない中、満州からやっとの思いで引き揚げ、夫の帰りを信じて待ち続ける…
ネタバレしないよう、ここまでにしておきます。
本当に単なるアイドル映画ではありませんでした。

15日「ラストメッセージ」は、特攻から生還した佐々木友次特攻隊員の貴重なドキュメンタリー映画。
飛行機に憧れていた北海道出身の佐々木さんが、逓信省航空局仙台地方航空機乗務員養成所を経て、陸軍の神風(しんぷう)特別攻撃隊の第1期に抜擢されます。1回目の特攻で死亡していないのに、上官が天皇に死亡報告をしてしまいました。天皇に嘘の報告をしたことは許されることではないから、是が非でも佐々木さんを飛行機ごと体当たりでアメリカ軍に突っ込み、戦死させるために、何回も出撃命令をします。特攻隊の飛行機は、爆弾が落とせない仕組みで、先端につけたツノ(信管)がぶつかると、機体の中の爆弾が爆発するようにしてあります。
所属する万朶隊(ばんだたい)の岩本隊長は、優秀なパイロットが犬死にするのはおかしいと、自分の判断で、戦闘機にくくりつけた爆弾が投下できるようにしました。その後、岩本隊長は戦死されます。
佐々木さんが1回目の特攻でアメリカの戦艦1隻を沈め、戦死したと内地の新聞が大きく報道したことから、故郷の人たちは、佐々木さんを「軍神」と崇め、盛大な葬式を挙げます。
戦後に引き揚げされた時は、いろいろと言われ、大変な思いをされたそうです。

鴻上尚史さんと上松監督のトークショーは、この映画祭を運営している御手洗志穂さんの絶妙な司会のリードで、40分があっという間。制作のウラ話や物事の考え方などグイグイ引き込まれました。
鴻上さんは、佐々木さんのことを書いた新書「不死身の特攻兵」を出されています。
お互いを尊敬する、理解する気持ちがあれば、戦争や諍いは起こらないと思います。
戦争は絶対に繰り返してはならない!
現在の日常生活がとてもかけがえのないものだと痛感しました。