彼の仕事がひとつずつ片付き始め、
遠方に作業に行った日、確かそれは休日で、
あたしも疲れていて眠っていた。
彼は遅くなると言っていたから、
この日は連絡ないだろうと
ごはん作る心配もせず実家で爆睡していた。
23時近くだったか、彼からの電話で目を覚ます。
「寝とったんか」
トーンの低い彼の声。
「うん・・・」
「メール見たか?」
「見てない」
「ほな、ええわ」
ツーツー
怖い声で電話を切られて、まだしっかり開かない目でメールを見ると、
23時半くらいにマンション近くにごはん持ってこれますか?
と入っていた。
時間は21時くらい。
あたしメール音じゃ起きないんだよね。
それは彼も同じ。
そういう大事な連絡は電話にしてくれないと。
きっと彼は責めるつもりはないんだろうけど、
疲れていて、そこへきて返事もなく、
電話したら寝ていて、ごはんにもありつけないという、
最悪な精神状態に陥ったのだろう。
その日はあたしそっからどうしたか忘れたけど、
さすがに持って行ってないと思う。
それからすっかり彼の仕事が落ち着いた頃、
寒さもだいぶ和らいでいた。
相変わらず毎日電話はあるものの、
めっきり会わなくなった。
「仕事も早く終われるしあったかくなったでもうごはんはいいでな。
自分で作るわ」
うれしいけど、少しさみしい。
2週間ほど会わない日が続いた、ある休日、
「どうせヒマしとるんやろ?」
「別にヒマじゃないけどw」
「たまにはメシ持って来てくれよ」
「うんいいよ」
久しぶりだと快く返事ができる。
「17時半までに来れる?」
「わかった」
夜はでかけるらしい。
急いで支度して、いつもはちゃんと片付けてから出てたけど、
この日ばかりはキッチンをそのままに家を出た。
しかし、最悪の渋滞。
今までも渋滞表示が出ていたときはあった。
けど、本当にトロトロ運転とか完全に止まるとかそこまではなかった。
なのにこの日に限ってマジの渋滞。
「今どこー?」
「渋滞・・・」
「間に合わんなぁ・・・」
「どうしよう・・・また事務所のドアにひっかけておこうか」
「んー・・・それか20時まで待ってて」
「え」
「20時には帰ってくるから」
えーーー
あたしキッチンそのままにしてきてるし、
用事終わって会うならまた夜中まで付き合わされる・・・
あたしってほんとに彼のこと好きなのかなw
自分のペースを崩したくないというか、
彼のペースに合わせたあとの自分のペースを乱されるのが不服。
彼もワガママなんだけど、そこにいつも素直に良い返事をしないあたしを、
彼はきっとイラっとくるんだと思う。
渋滞を抜けたのが名古屋に入った頃、
時間は17時。
「あと5分くらいで着くよ~」
「え!はええな」
「間に合う?」
「おう!よくがんばった。俺も急いで行く」
なんとかお互いのペースを守ってご飯を届けられた。
その翌日だったかな。
仕事のあとごはんを作って食べていると電話があった。
「なにしとるんえ?暇そうに」
「ごはん食べてる」
「ええな~俺のは?」
「ん~作れるよ?」
「20時までに持ってこれる?」
「また早いねw」
「夜でかけなあかんでさ」
「急げば間に合うかも」
「ほな頼むわ」
てことは、またすぐ帰れるんだ。
21時には家に着くと思うと、それはとてもいい。
今回もごはんを作ったあとのキッチンを片づけることなく、
お弁当を持って急いで彼の元へ向かった。
電話を切ってから30分後には出発していた。
彼のマンションの近くまで。
21時に従業員と約束してるようで、
1時間も一緒にいないうちに、
「せっかく来てもらったのにすまんな」
「いいよ~」
車内で寝る彼を起きるまで延々待つより全然いい。
それから、彼に最初に言われたとおり、
彼にかかった食費と、交通費、ガソリン代の請求を彼にメールした。
トータルで9万円。