素敵なコラムがあったので
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ある会社内でのお話↓
○営業 :
「主任、ちょっといいですか?」
●主任 :
「うん、いいよ」
○営業 :
「もううちの営業所には来ないですよね? 最後に、どうしても相談したいこ
とがあります」
●主任 :
「どうしたんだよ、神妙な表情で」
○営業 :
「実はここだけの話なんですけど、他社から誘いの言葉をいただいてるんで
す」
●主任 :
「ほお、そうなのか」
○営業 :
「私ももう35歳。人生において転職できるのも、最後かなと思ってるので、
慎重に決断したいと思っています」
●主任 :
「転職したら、どんな仕事を任せられるんだ」
○営業 :
「ネット広告をしている会社で、マーケッターとして働くことになると思いま
す。もともとマーケティングに興味があったものですから」
●主任 :
「そうか。それで、私に何を相談したいんだ?」
○営業 :
「いや、その……。転職していいかどうかって」
●主任 :
「そんなこと、私にはわからないよ。私は3月末までこの会社の社員だ。約4
0年働いた。愛着がすごくある。心情的には、絶対に辞めてもらいたくない」
○営業 :
「主任は定年退職されるまで、転職は考えなかったですか?」
●主任 :
「考えないよ。妻と離婚を考えたことがないし、子どもとの縁を切ることも考
えたことがない。それと同レベルだ」
○営業 :
「すごい忠誠心ですね」
●主任 :
「忠誠心? 忠誠心だなんて、考えたこともない」
○営業 :
「大変失礼なことを聞いてもいいですか」
●主任 :
「いいけど、60歳を過ぎた私の話なんて、参考になるのかね?」
○営業 :
「いろんな人の意見を聞いてみたいんです。主任は、定年になるまで主任じゃ
ないですか。そのことについて……。どう思っていらっしゃるんですか」
●主任 :
「私は中卒だ。高校は行ったけれど1年で退学した。学費も出せない家庭に育
ったから、しょうがなかった。それだけだ」
○営業 :
「学歴で肩書が決まるなんておかしいと思います」
●主任 :
「最近は人事制度も刷新されたみたいだから、これからは私のような処遇は誰
も受けないと思うよ」
○営業 :
「しかし主任、悔しくないんですか。当社の新規事業の3つは、主任が確立し
たと聞いてます」
●主任 :
「いいねえ。そうやって言われると、すごく嬉しい。そうなんだ。私の唯一の
自慢だ」
○営業 :
「設備会社のコミュニティを作ったのも主任だと聞いています」
●主任 :
「これでも、お客様には顔がきくんだよ。3年かけて地道にお客様をまわり、
当社独自のコミュニティを作った。15年間、収益に貢献してると思う」
○営業 :
「設備会社の総合相談所を設置したのも主任だと聞いています」
●主任 :
「当社は設備会社だ。設備会社が困っていることは、設備会社が一番よくわか
ってる。だからそういう相談所があったらいいなと思った」
○営業 :
「この事業も順調ですね」
●主任 :
「今じゃあ、グループ会社になって20人の雇用も生んだ。よくやってる」
○営業 :
「工事原価管理のソリューション事業も、主任ですよね。立ち上げたのは?」
●主任 :
「立ち上げたのは2年前に定年退職した専務だ。私はその新規顧客を開拓する
責任者だったにすぎない」
○営業 :
「しかし、新しいお客様を開拓するのが一番難しいんじゃ……」
●主任 :
「そう! そうなんだよ! 君はわかってるねェ。嬉しいよ。事業を立ち上げ
るのはね、意外と簡単なんだ。その事業を形にしていくのが、本当に難しい」
○営業 :
「これまで、どれぐらいの事業の立ち上げに関わってきたんですか」
●主任 :
「12種類だ。ちゃんと数えてる。そのうち3つの事業が今も残ってる。意外
とこの戦歴は悪くないよ」
○営業 :
「12種類……。9つの事業はうまくいかなかった」
●主任 :
「そう。決して手を抜いたつもりはないけど、ね。仕方がない。いろんな事情
があるんだ。へこたれずに前を向いて40年やらせてもらえた」
○営業 :
「……やらせてもらえた」
●主任 :
「うん。9回失敗して、社長をはじめ、いろいろな幹部からその都度、めちゃ
くちゃ怒られたけど、それでもクビにはならなかった。本当に感謝してる」
○営業 :
「おかしいですよ、そんなの」
●主任 :
「おかしいかな」
○営業 :
「すごく失礼ですけど、『社畜』って言葉知ってますか?」
●主任 :
「しゃちく?」
○営業 :
「会社に飼いならされてる社員のことです」
●主任 :
「へえ……」
○営業 :
「まるで、その……。主任って、社畜みたいじゃないですか。本当に失礼です
けれど、人事部の同期に主任の報酬を聞いてみました。私とそう変わらない。
年収450万ぐらいじゃないですか」
●主任 :
「そうだよ。でも公団住宅だし、そんなに不自由してないけど」
○営業 :
「でも、なんかおかしいですよ。私みたいな、それこそ……。ホント申し訳あ
りません。でも言わせてください。ロクに結果も出してない営業と年収が同じ
なんですよ。なんか……私まで悔しくなってきます」
●主任 :
「おいおい、どうしたんだ。でも気にしてくれてありがとう。なんか嬉しい
よ」
○営業 :
「私は嫌です。主任のようにはなりたくありません」
●主任 :
「そうか。新しい会社では、新しい事業を切り開く手伝いをするんだな? そ
れはそれで、楽しいかもしれん。私はちょっと寂しい気がするが」
○営業 :
「私が転職しようとしているネット広告の会社は急成長しています。ノルマも
なく、オフィスも渋谷にあるカフェのような空間で仕事をするんです。自由な
時間に出勤して、自由な空間で働くことができます。平均年齢は28歳。すご
く若々しい会社です」
●主任 :
「それはスゴイね。社長は何歳なの?」
○営業 :
「私と同じ35歳です」
●主任 :
「それは大したもんだ。君はその社長の右腕になるのか?」
○営業 :
「いや、そういうわけじゃありません。マーケッターの仕事だと聞いています。
具体的には入社してから聞かされると思います」
●主任 :
「そうなのか。君はその自由な組織風土に憧れたんだね」
○営業 :
「それもありますが……。2年で年収2000万は約束すると言われたんで
す」
●主任 :
「年収2000万……」
○営業 :
「あ、あの、これは確実です。怪しい話じゃないんです。働いている社員のう
ち半分以上が2000万ぐらいもらってるそうですので」
●主任 :
「すごいね。そんなビッグチャンス、人生においてなかなかないだろう。すぐ
に転職したらいいじゃないか」
○営業 :
「そ、そうですか」
●主任 :
「うん、私が君の年齢なら迷わずすぐ飛び込むよ! はははは」
○営業 :
「はは……。そ、そうですか」
●主任 :
「どうして悩んでるんだ」
○営業 :
「妻が反対してるんです。お金なんか要らないから、今の会社でもっと頑張っ
てって」
●主任 :
「そりゃあ、お金はどうでもいいだろう」
○営業 :
「え、でも」
●主任 :
「年収2000万ももらうということは、まず間違いなく、この会社にいるよ
り10倍近く苦労する」
○営業 :
「ええっ!」
●主任 :
「どうしてそんなに驚いてるんだ」
○営業 :
「いや、そんなことはないと思います。毎日オフィスに出勤しなくても、自由
な時間に働いても、2年で100%、年収2000万になると言われてます」
●主任 :
「そうなのか。それなら10倍じゃなく、30倍ぐらい苦労するだろうな」
○営業 :
「えええっ!」
●主任 :
「悪い悪い。理屈は言えないけど、私の勘だ。正しいかどうかわからないが、
私のような老人の意見も参考にしたまえ」
○営業 :
「30倍も苦労する……。そんなはずは、ないですよ」
●主任 :
「君はどうして私に相談してきたんだ?」
○営業 :
「えっと……。実は、よく、わかりません」
●主任 :
「たぶん直感だよ。この人に相談したら、何か参考になることを言ってもらえ
る、と思ったんだろ」
○営業 :
「はい。そうです」
●主任 :
「それと同じ。30倍苦労する、というのは、私の直感だ」
○営業 :
「……直感」
●主任 :
「うん、でもいいじゃないか。苦労すればいい。苦労することなんて、今
の時代、なかなかできないぞ」
○営業 :
「……」
●主任 :
「その会社に入り、たまに出勤して、ネット広告のマーケティングなど、まっ
たく経験のない仕事を淡々としていたら2年で年収2000万になったとする。
それで幸せになれるか?」
○営業 :
「幸せ……」
●主任 :
「奥さんは、それを言ってるんだよ」
○営業 :
「……意味が、わかりません」
●主任 :
「幸せは、『線』でできている。『点』と『点』とを一本の『線』につないで
いくことが、幸せの形なんだ」
○営業 :
「……」
●主任 :
「現在という『点』と、目標や夢が実現した未来という『点』との距離が長け
れば長いほど、大きな幸せを掴める。だからみんな、高い目標に挑戦するんだ。
大きな夢を描くんだ」
○営業 :
「……幸せは、『線』で、できている……」
●主任 :
「私は確かに12の新規事業に挑戦し、3つしか成功させられなかった。しか
し、成功した3つの事業だけが私に幸福感をもたらせたわけじゃない」
○営業 :
「ああっ!」
●主任 :
「12の事業、すべてを成功させようとした。私の頭の中には成功が見えてい
た。その『点』に向かって、ずっと私は『線』を引こうとしていた。だから私
はすべての事業に関わっている間、幸せだった」
○営業 :
「で、でも、事業がうまくいかなかったとき、辛かったですよね? 苦しかっ
たんじゃないんですか?」
●主任 :
「事業の成功を願っていたわけだから、そりゃあ辛いよ。でも、その不幸せな
気持ちを覚えたのは『点』だ。『点』に過ぎない」
○営業 :
「点!」
●主任 :
「私は真剣に、ずっと成功を夢見ていた。だからその間、その期間は、ずっと
幸せだった。この事業を絶対達成させてやると思っていたからだ」
○営業 :
「絶対達成させてやる、と……」
●主任 :
「最初からどうせ無理だろう、実現するわけがないと諦めている人は、現在と
いう『点』から抜け出せない。『線』を引く勇気がない。当然うまくいかない
し、それ以前に幸せになれない」
○営業 :
「……」
●主任 :
「私は、たくさんの幸せの『線』を引かせてくれたこの会社に、本当に感謝し
ている」
○営業 :
「主任……」
●主任 :
「退職したあとは、絵を習い、10年後には個展を開こうと思ってる。絵心な
んてないから、私にとってめちゃくちゃハードルが高い。でもこれから、新し
い『線』を引いていきたいと思ってるんだ。妻と一緒に」
○営業 :
「……」
●主任 :
「この会社に留まってもいい。転職してもいい。でも、ハードルの高いことに
挑戦しろ。そして絶対達成させると胸に誓え。そうすれば、君と奥さんの幸せ
の『線』は、必ず未来へと長く引かれていくだろう」
○営業 :
「主任、ちょっといいですか?」
●主任 :
「うん、いいよ」
○営業 :
「もううちの営業所には来ないですよね? 最後に、どうしても相談したいこ
とがあります」
●主任 :
「どうしたんだよ、神妙な表情で」
○営業 :
「実はここだけの話なんですけど、他社から誘いの言葉をいただいてるんで
す」
●主任 :
「ほお、そうなのか」
○営業 :
「私ももう35歳。人生において転職できるのも、最後かなと思ってるので、
慎重に決断したいと思っています」
●主任 :
「転職したら、どんな仕事を任せられるんだ」
○営業 :
「ネット広告をしている会社で、マーケッターとして働くことになると思いま
す。もともとマーケティングに興味があったものですから」
●主任 :
「そうか。それで、私に何を相談したいんだ?」
○営業 :
「いや、その……。転職していいかどうかって」
●主任 :
「そんなこと、私にはわからないよ。私は3月末までこの会社の社員だ。約4
0年働いた。愛着がすごくある。心情的には、絶対に辞めてもらいたくない」
○営業 :
「主任は定年退職されるまで、転職は考えなかったですか?」
●主任 :
「考えないよ。妻と離婚を考えたことがないし、子どもとの縁を切ることも考
えたことがない。それと同レベルだ」
○営業 :
「すごい忠誠心ですね」
●主任 :
「忠誠心? 忠誠心だなんて、考えたこともない」
○営業 :
「大変失礼なことを聞いてもいいですか」
●主任 :
「いいけど、60歳を過ぎた私の話なんて、参考になるのかね?」
○営業 :
「いろんな人の意見を聞いてみたいんです。主任は、定年になるまで主任じゃ
ないですか。そのことについて……。どう思っていらっしゃるんですか」
●主任 :
「私は中卒だ。高校は行ったけれど1年で退学した。学費も出せない家庭に育
ったから、しょうがなかった。それだけだ」
○営業 :
「学歴で肩書が決まるなんておかしいと思います」
●主任 :
「最近は人事制度も刷新されたみたいだから、これからは私のような処遇は誰
も受けないと思うよ」
○営業 :
「しかし主任、悔しくないんですか。当社の新規事業の3つは、主任が確立し
たと聞いてます」
●主任 :
「いいねえ。そうやって言われると、すごく嬉しい。そうなんだ。私の唯一の
自慢だ」
○営業 :
「設備会社のコミュニティを作ったのも主任だと聞いています」
●主任 :
「これでも、お客様には顔がきくんだよ。3年かけて地道にお客様をまわり、
当社独自のコミュニティを作った。15年間、収益に貢献してると思う」
○営業 :
「設備会社の総合相談所を設置したのも主任だと聞いています」
●主任 :
「当社は設備会社だ。設備会社が困っていることは、設備会社が一番よくわか
ってる。だからそういう相談所があったらいいなと思った」
○営業 :
「この事業も順調ですね」
●主任 :
「今じゃあ、グループ会社になって20人の雇用も生んだ。よくやってる」
○営業 :
「工事原価管理のソリューション事業も、主任ですよね。立ち上げたのは?」
●主任 :
「立ち上げたのは2年前に定年退職した専務だ。私はその新規顧客を開拓する
責任者だったにすぎない」
○営業 :
「しかし、新しいお客様を開拓するのが一番難しいんじゃ……」
●主任 :
「そう! そうなんだよ! 君はわかってるねェ。嬉しいよ。事業を立ち上げ
るのはね、意外と簡単なんだ。その事業を形にしていくのが、本当に難しい」
○営業 :
「これまで、どれぐらいの事業の立ち上げに関わってきたんですか」
●主任 :
「12種類だ。ちゃんと数えてる。そのうち3つの事業が今も残ってる。意外
とこの戦歴は悪くないよ」
○営業 :
「12種類……。9つの事業はうまくいかなかった」
●主任 :
「そう。決して手を抜いたつもりはないけど、ね。仕方がない。いろんな事情
があるんだ。へこたれずに前を向いて40年やらせてもらえた」
○営業 :
「……やらせてもらえた」
●主任 :
「うん。9回失敗して、社長をはじめ、いろいろな幹部からその都度、めちゃ
くちゃ怒られたけど、それでもクビにはならなかった。本当に感謝してる」
○営業 :
「おかしいですよ、そんなの」
●主任 :
「おかしいかな」
○営業 :
「すごく失礼ですけど、『社畜』って言葉知ってますか?」
●主任 :
「しゃちく?」
○営業 :
「会社に飼いならされてる社員のことです」
●主任 :
「へえ……」
○営業 :
「まるで、その……。主任って、社畜みたいじゃないですか。本当に失礼です
けれど、人事部の同期に主任の報酬を聞いてみました。私とそう変わらない。
年収450万ぐらいじゃないですか」
●主任 :
「そうだよ。でも公団住宅だし、そんなに不自由してないけど」
○営業 :
「でも、なんかおかしいですよ。私みたいな、それこそ……。ホント申し訳あ
りません。でも言わせてください。ロクに結果も出してない営業と年収が同じ
なんですよ。なんか……私まで悔しくなってきます」
●主任 :
「おいおい、どうしたんだ。でも気にしてくれてありがとう。なんか嬉しい
よ」
○営業 :
「私は嫌です。主任のようにはなりたくありません」
●主任 :
「そうか。新しい会社では、新しい事業を切り開く手伝いをするんだな? そ
れはそれで、楽しいかもしれん。私はちょっと寂しい気がするが」
○営業 :
「私が転職しようとしているネット広告の会社は急成長しています。ノルマも
なく、オフィスも渋谷にあるカフェのような空間で仕事をするんです。自由な
時間に出勤して、自由な空間で働くことができます。平均年齢は28歳。すご
く若々しい会社です」
●主任 :
「それはスゴイね。社長は何歳なの?」
○営業 :
「私と同じ35歳です」
●主任 :
「それは大したもんだ。君はその社長の右腕になるのか?」
○営業 :
「いや、そういうわけじゃありません。マーケッターの仕事だと聞いています。
具体的には入社してから聞かされると思います」
●主任 :
「そうなのか。君はその自由な組織風土に憧れたんだね」
○営業 :
「それもありますが……。2年で年収2000万は約束すると言われたんで
す」
●主任 :
「年収2000万……」
○営業 :
「あ、あの、これは確実です。怪しい話じゃないんです。働いている社員のう
ち半分以上が2000万ぐらいもらってるそうですので」
●主任 :
「すごいね。そんなビッグチャンス、人生においてなかなかないだろう。すぐ
に転職したらいいじゃないか」
○営業 :
「そ、そうですか」
●主任 :
「うん、私が君の年齢なら迷わずすぐ飛び込むよ! はははは」
○営業 :
「はは……。そ、そうですか」
●主任 :
「どうして悩んでるんだ」
○営業 :
「妻が反対してるんです。お金なんか要らないから、今の会社でもっと頑張っ
てって」
●主任 :
「そりゃあ、お金はどうでもいいだろう」
○営業 :
「え、でも」
●主任 :
「年収2000万ももらうということは、まず間違いなく、この会社にいるよ
り10倍近く苦労する」
○営業 :
「ええっ!」
●主任 :
「どうしてそんなに驚いてるんだ」
○営業 :
「いや、そんなことはないと思います。毎日オフィスに出勤しなくても、自由
な時間に働いても、2年で100%、年収2000万になると言われてます」
●主任 :
「そうなのか。それなら10倍じゃなく、30倍ぐらい苦労するだろうな」
○営業 :
「えええっ!」
●主任 :
「悪い悪い。理屈は言えないけど、私の勘だ。正しいかどうかわからないが、
私のような老人の意見も参考にしたまえ」
○営業 :
「30倍も苦労する……。そんなはずは、ないですよ」
●主任 :
「君はどうして私に相談してきたんだ?」
○営業 :
「えっと……。実は、よく、わかりません」
●主任 :
「たぶん直感だよ。この人に相談したら、何か参考になることを言ってもらえ
る、と思ったんだろ」
○営業 :
「はい。そうです」
●主任 :
「それと同じ。30倍苦労する、というのは、私の直感だ」
○営業 :
「……直感」
●主任 :
「うん、でもいいじゃないか。苦労すればいい。苦労することなんて、今
の時代、なかなかできないぞ」
○営業 :
「……」
●主任 :
「その会社に入り、たまに出勤して、ネット広告のマーケティングなど、まっ
たく経験のない仕事を淡々としていたら2年で年収2000万になったとする。
それで幸せになれるか?」
○営業 :
「幸せ……」
●主任 :
「奥さんは、それを言ってるんだよ」
○営業 :
「……意味が、わかりません」
●主任 :
「幸せは、『線』でできている。『点』と『点』とを一本の『線』につないで
いくことが、幸せの形なんだ」
○営業 :
「……」
●主任 :
「現在という『点』と、目標や夢が実現した未来という『点』との距離が長け
れば長いほど、大きな幸せを掴める。だからみんな、高い目標に挑戦するんだ。
大きな夢を描くんだ」
○営業 :
「……幸せは、『線』で、できている……」
●主任 :
「私は確かに12の新規事業に挑戦し、3つしか成功させられなかった。しか
し、成功した3つの事業だけが私に幸福感をもたらせたわけじゃない」
○営業 :
「ああっ!」
●主任 :
「12の事業、すべてを成功させようとした。私の頭の中には成功が見えてい
た。その『点』に向かって、ずっと私は『線』を引こうとしていた。だから私
はすべての事業に関わっている間、幸せだった」
○営業 :
「で、でも、事業がうまくいかなかったとき、辛かったですよね? 苦しかっ
たんじゃないんですか?」
●主任 :
「事業の成功を願っていたわけだから、そりゃあ辛いよ。でも、その不幸せな
気持ちを覚えたのは『点』だ。『点』に過ぎない」
○営業 :
「点!」
●主任 :
「私は真剣に、ずっと成功を夢見ていた。だからその間、その期間は、ずっと
幸せだった。この事業を絶対達成させてやると思っていたからだ」
○営業 :
「絶対達成させてやる、と……」
●主任 :
「最初からどうせ無理だろう、実現するわけがないと諦めている人は、現在と
いう『点』から抜け出せない。『線』を引く勇気がない。当然うまくいかない
し、それ以前に幸せになれない」
○営業 :
「……」
●主任 :
「私は、たくさんの幸せの『線』を引かせてくれたこの会社に、本当に感謝し
ている」
○営業 :
「主任……」
●主任 :
「退職したあとは、絵を習い、10年後には個展を開こうと思ってる。絵心な
んてないから、私にとってめちゃくちゃハードルが高い。でもこれから、新し
い『線』を引いていきたいと思ってるんだ。妻と一緒に」
○営業 :
「……」
●主任 :
「この会社に留まってもいい。転職してもいい。でも、ハードルの高いことに
挑戦しろ。そして絶対達成させると胸に誓え。そうすれば、君と奥さんの幸せ
の『線』は、必ず未来へと長く引かれていくだろう」
【横山信弘氏のコラム草創花伝】からシェアさせていただきました*
幸せは線で描かれる。
なんだかとても腑に落ちました😊
namaste