松下は軽く首を横に振った。
「…眠るまでの間でいいので、僕のそばにいてくれませんか」
 松下は寝室に消えて、門脇は書斎で適当な本を見繕ってから、寝室に入った。昨日のように、松下が眠るベッドを背に座り本を開いた。本に集中しようとしても、松下の言動が気になって仕方が

なかった。規則的な呼吸に、門脇は立ち上がって松下の顔を覗き込んだが、眠りの気配を見せない瞳とぶつかった。気まずかった。そのまま再びベッドの横に座り込む。一時間ほど経って、もう眠

ったかと思いそっと振り返ると、松下は軽く首を横に捩じった。
「眠くないんですか」
「昼間、ずいぶん眠りましたから」
「そうですか」
 松下は門脇の視線を避けるように、寝帰りをウチ背中を向けた。
「帰ってもいいですよ」
「でも…」
「いいから、帰りなさい」
 追い払う声に立ち上がり数歩あるく。松下は慌てて振り返り、ベッドの上で半身を起こした。
「やっぱり…もう少しいてもらっていいですか」
 分刻みで変わる言葉と態度に門脇は戸惑い、そして腹が立ってきた。気まぐれとも取れる松下の言動。一体どうしてほしいのか、はっきりとしてほしかった。門脇は一度、深呼吸した。
「迷惑なら俺は帰ります」
 松下は見据えて、きっぱりと言い切る。松下は顔を両手で覆い、深く頭をうつむけた。
「僕は先生のことがわかりません。言いたいことがあるなら、してほしいことがあるならはっきり言ってください」
 顔を隠す指の隙間から、声が洩れる。
走過的路不可能回頭 將寂寞的夜留給我擁有刹那間的閃亮 漸漸懂得你愛的方式 雙腳的溫度往前的一步 當我驀然回首尋索你的蹤跡 愛情匆匆撒手留也留不住 聽傷感的歌緩解心中的壓抑 コミュニケーショ 我的靈魂允許我的頹廢 彈一曲相思曲撫慰自己