少し前のことになりますが、「この世界の片隅に」を観ました。
多分こんな映画なんだろうなと思っていたラインを外れるところはほとんどありませんでした。つまり、ほぼ、想像していたとおりの映画。
 それにもかかわらず、やっぱり観てよかったな、いい映画だったなと思うのと同時に、この映画が(多分)制作者の予想を超えるヒットとなり広がり続けていったことが、神様からのすばらしいプレゼントのように思えました。
ここに描かれているのは、登場人物たちが悲喜こもごもを抱えながらも、細々と毎日大切に営んでいる普通の生活そのものです。戦争の影がしだいに色濃く不気味に膨れ上がっていくのを感じながらも、主人公のすずさんに最も大きなストレスを与えているのは古今東西どこにでもある「家庭の問題」。

 戦争よりも目先のそんなことのほうがとりあえず大変だったりするところがリアルです。そんな中にも慰めがあり、小さなわくわくがあり、総じてみれば、これが「平凡なしあわせというものか」と思わせるような毎日が、なんて簡単に完膚なきまでに打ち砕かれてしまうものなのか。
 人のはかなさとか、哀しさとか、それでも立ち上がっていく強さとか、そんな中で身を寄せ合うことのあたたかさとか、決して戻ることのない時代への哀切感とか、後半、そんなものが押し寄せてきて、じわじわ涙がこぼれます。
 でもそれは、鼻水と一緒にだーっと溢れ出てくるような涙ではないんです。ひどいー! 赦せないー! 戦争はんたーい! みたいな激しい涙ではなくて、切なさ、哀しさ、愛しさなどのいろんな感情が混じった涙がじわじわだらだらと静かにいつまでも流れてしまうような感じなんです。
 聖書には、人間とはしばらくの間出てすぐに消えてしまう霧のようなものだとか、今は青々としていてもすぐに枯れてしまう草のようなものだというような記述がありますが、そのような存在の人間に目を留め、愛を注ぎ、永遠を与えてくださる神様の存在がないならば、あまりにも哀しすぎる現実ですね。
 人間のはかなさと、神様の与えてくださる永遠という途方もない贈り物と、その両方を思いながら生きていきたいなと思いました。
 

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