映画を観てずいぶん経った頃に、原作である漫画の方を読みました。
改めて、原作に忠実な映画だったんだなー、と感心。
ただ一つ、映画のほうでは大きなエピソードが一つごっそり切られていたことがわかりましたが、小さなところをチマチマと切って尺を合わせるより、これくらい大胆に大きなところを一つ諦めるて他のディテールを活かすほうが、結果的には原作に近いものになるのだと納得しました。
とはいえ、このエピソードを切ってしまうことによって、とっても大切なセリフが一つ一緒に消えてしまうことはなんとも残念でした。
「過ぎた事 選ばんかった道 みな覚めた夢と変わりやせんな
あんたを選んだんは わしにとって多分 最良の現実じゃ」
このセリフに出会うためには、漫画を読むしかない^^ こんなふうに、原作漫画に導くことも映画化画が果たせる大きな役割のひとつかもしれませんね。
セリフと言えばもう一つ印象に残ったのが、いつもすずさんにきつくあたる義姉の長セリフでした。
「わたしゃ好いた人に早う死なれた。子供とも会えんくなった。ほいでも不しあわせとは違う。自分で選んだ道じゃけえね。そのてん、周りの言いなりに知らん家へヨメに来て、言いなりに働いてあんたの人生はさぞやつまらんじゃろうと思うわ」
ああ、なるほど、と思いました。自分の人生は自分で選択しているという自負のあるこの人には、素直に何でも言うことを聞くすずさんは軽蔑の対象だったんですね。でも一緒に暮らし、戦時下の修羅場をくぐる中で、この人はすずさんの柳のようなしなやかな強さに気がついていったんだと思うのです。
ストレスからくる(と思われる)ハゲを作りながらも表面上はいつもおっとりとやわらかく笑っているすずさん。幼い人を守りきれなかった苦しみを味わいながら、理不尽な責めに一切弁解しないすずさん。右手を失い絵を描けなくなっても、その辛さを外に向かっては表出しないすずさん。
そんな彼女をみながら、世の中には自分とは違うタイプの「強い人」がいるのだということを悟った義姉が、すずさんに「あんたの居場所はここだ」と告げる際のセリフです。どちらかと言えば義姉タイプの私には、深く心に残るシーンでした。
それからもう一つ、映画になくて漫画にある魅力的な要素は、「鬼いちゃん」を題材にしたすずさん作のショート漫画です。本編の合間合間に時々挟まってくるのですが、最初は吹き出すのみ、最後のほうは泣き笑いです。
映画のほうだけ観た方には原作漫画も読むことをお勧めするのと同時に、原作漫画だけ読んだ方にも、「安心して映画もご覧ください」とお勧め致します。
(この作品の「映画評」はこちら https://ameblo.jp/emikou2/entry-12377401729.html)