最近千里眼っていう本にはまっていますw


松岡 圭祐
千里眼

初めての方は第1話からどうぞ♪


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トラが、おかしくなっちゃったよ。


「母さんが来たんだよ。んで俺に言うんだ。もう大丈夫って。だから、明日行ったっていいだろ?」


でも……




「トラ…ほんとにお母さんが来たの?」



「ほんとに決まってんだろ!」



でもね、トラ…

あたしは知ってるから。

お母さんはもういないんだよ。





「ほんとだって!竜は、絶対に死なないって、言ったんだよ。ずっと死なないって。」




「ずっと?」





「そうだ。」






ずっと死なない人間など、いるわけがない。

それは多分トラがそうなって欲しいと願っていることで…


竜にずっと生きていてほしい。

お母さんにも、そばにいて欲しい。




きっとそんな思いが作り出した空想で…







竜がずっと生きられたとしても、トラが一緒にいてあげられなければ意味がないのに。

そしてお母さんの願いも、そんなことではなかったはずなのに…





それも考えられないくらいに追い詰められていたんだね。






「明日、海に行く。」





そういうトラをとめていたら…

もう一回考えてって言っていたら…




未来はまた、違ったのかもしれない。




行くなら…

思いっきりはしゃいで、走って…

竜がいつか話していたような砂のお城を一緒に作って…





行って良かったって、思えるようにしてあげよう。


あたしには、それくらいしかできないけど、

それはあたしにしかできないから。







トラの事が心配だった。

海に行くにしても、いきなり明日って…






トラの本心がわからない。