歩む未来を照らすように、プロ初本塁打は最大のインパクトだった。この1本に虎党は希望を見ることができる。D1位・伊藤隼(慶大)が1号満塁本塁打を放った。
「金本さんの打席の直後で球場が異様な雰囲気でしたが、自分の打席に集中することだけを意識していました。風があったので入るかどうか分からなかったので全力で走りました。入ってくれた瞬間はうれしかったです」
5-0とリードを広げた五回。二死二、三塁から代打・金本がストレートの四球を選んでつないだ。今季限りで引退を決めているアニキに対するヤクルトの敬遠ぎみの作戦に、場内は大ブーイング。物々しい雰囲気の中、打席に向かった。アニキはこれで2572試合出場となり、歴代単独8位とした。その好機をドラ1が生かした。
球団に名を刻んだ。新人がプロ初本塁打を満塁弾で飾ったのは、プロ野球創設年の1936年、伊賀上良平以来、76年ぶり、1950年以降の2リーグ分立後では初の快挙。二死からカウント2-2、2番手・松井光の140キロ高めの直球を強振した。強いフォローの風も味方に付け、右翼席まで運んだ。大学時代に慣れ親しんだ神宮球場で、アピールした。