日本の敗戦を告げる笛が夜空に響くと、木下と土光の両センターバックは涙を流した。体格で日本を圧倒するドイツ相手に3失点。「(1点目の)失点シーンは自分のせいなので申し訳ない」と話した土光の両目は、まだ少し腫れていた。
試合開始直後の失点は、精神に大きなダメージを与えた。「立ち上がりに失点して浮足だったのかな」と吉田監督。沈んだ気持ちで迎えたハーフタイム。選手全員の口から、自然と同じ言葉が発せられた。「ここで下を向いたら、ここまでやってきたことの意味がない!!」。立ち直ったチームは後半、歯が立たなかった相手に互角の戦いを演じた。
敗戦のショックは大きいが、引きずるわけにはいかない。うつむきがちなチームメートを見かねたDF浜田は「銅は“金”と“同じ”だよ。メダルを取ろう!!」と一喝。ムードメーカーの機転で、チームは活気を取り戻した。
泣いても笑っても、このメンバーで戦うのは次が最後。強豪との戦いで実感した世界との差を糧にして、全力を尽くす。