試合は12―0で5回コールド勝ち。登板機会はなかったが、打者としても潜在能力の高さをあらためて発揮した。
外野手が極端に右翼寄りに位置取った「大谷シフト」を軽々と越えていった。泳がされながらも85センチの長い右腕を精いっぱい伸ばしてボールを右翼へすくい上げた。フラフラと夏空に舞い上がった打球はそのままスタンドへ。「バットの先っぽで回転もよくなかったけど、入ってくれてよかった」。やや物足りなさそうに話したが、大谷の最後の夏は高校通算56本目の本塁打で幕を開けた。
初回無死二、三塁から先制3ラン。4―0とリードした2回の第2打席では、1死一、二塁から敬遠で歩かされた。2人態勢で視察に訪れた楽天の上岡良一スカウトは「本塁打を打つまではタイミングが合っていなかったけど、打席の中で修正して、きっちり打てる能力は凄い。あれだけ身長(1メートル93)が大きくて、柔らかいのはまれですよ」と高評価。1年時から密着マークを続けるドジャースを含む日米7球団が視察に訪れた試合で、まずは打者としての才能を見せつけた。
5回の守備から交代し、今夏初登板は12日の3回戦・水沢工戦以降にお預けとなったが、「日本一になるために、まずは岩手大会で甲子園出場切符を獲らないと」と3季連続の聖地へ気合十分。今センバツでは優勝した大阪桐蔭・藤浪に1回戦で投げ負けたが、夏の主役の座は譲らない。