甲子園に詰めかけた4万6801人の大観衆のド肝を抜いた。スコアボードの球速表示は「153km」。まだあどけなさが残る18歳の楽天・釜田が、昨年は高校球児として沸かせた聖地でプロとして鮮烈デビューを飾った。
「凄くいい経験ができたし、楽しかった。思ったよりも緊張はなかった。アンラッキーな安打もあったが、そこで踏ん張れる投手になりたい」
球団では07年の田中以来の高卒ルーキー1年目の先発デビュー。初回に1点を失い、なお1死二、三塁で新井を迎えると「ピンチだったので力が入った」。1ボール2ストライクから投じた4球目は金沢時代の昨夏甲子園で記録した自己最速タイの153キロを叩き出した。打球はバックネット方向へのファウル。身長1メートル77と小柄ながら、3歳から12歳まで水泳で鍛えた上体のバネが剛球を生む。最後は外角スライダーを振らせて空振り三振を奪った。
味方の守備が乱れて3回3失点。4回に代打を送られて降板したが自責は1と実力の片りんは見せた。星野監督は「釜田はいい経験をしたね。初回は(遊撃手の枡田の失策などがなければ)3者凡退や。次も先発?もちろん投げさせる」と先発ローテーション入りを明言した。闘将だから「闘球」にホレる。釜田が投じた73球は、楽天の未来を明るく照らした。