9日に坂路で51秒4―12秒2。1週前に実質的な追い切りを行い、今週は気合をつけた程度。それでも、全体が52秒5の好タイムだ。「先週併せ馬でやっているので、単走で強くならないようにした。思うような調教ができたし、思った通りの時計。発熱もなく、すごく順調」。青写真通りの最終デモに、石坂調教師は満足そうな表情を浮かべた。
発熱明けだったチューリップ賞は4着に終わったが、立て直した桜花賞で見事に1冠を奪取。今回は800メートル距離が延びるが、石坂師は全幅の信頼を置いている。「マイルで強い勝ち方をしてくれた。折り合いもついていたし、こなしてくれるんじゃないか」
騎乗停止中の岩田に替わって手綱を執る川田も、1週前追い切りに騎乗して期待を大きく膨らませた。「乗ってみて、本当にいい馬だと感じました。なかったチャンスですし、ただただ、ありがたいです。プレッシャーを味わえることを楽しみながらレースを迎えたいですね」
異なる騎手での2冠達成は、52年のスウヰイスー(桜花賞=保田隆芳、オークス=八木沢勝美)一頭だけ。その背中に魅了された鞍上が“厚い壁”を乗り越え、史上13頭目の牝馬2冠制覇へ導く。