カレンブラックヒルの最終追いはCWコース。サンライズマハティ(3歳未勝利)、メトロファルコン(同)を8馬身も追走。4コーナー手前でもまだ4馬身の開きがあったが、外へ持ち出すと瞬時に加速。秋山のゴーサインに応え、俺が先頭でゴールするんだという本性をむき出しにして、力強く1馬身先着した。6F81秒0、ラスト12秒5。水を含んだこの馬場では間違いなく速い。「これでスイッチが競馬モードに入った」。秋山は好感触に頬を緩ませた。
デビューから無傷の3連勝。期待馬の陣営について回るのは「悲願」の2文字だ。秋山はこれがG155回目の騎乗、平田師は11回目の出走。このコンビで、どうしても触れなくてはいけないのが07年オークス。ベッラレイアは直線で先頭に立ったが、ローブデコルテの強襲を食らって鼻差負け。2人の手からタイトルがするりと逃げていった。
当然、思いは強い。「僕も秋山もまだG1を勝っていない。ぜひこの馬でと思っている」。平田師は言葉に魂を込めた。同厩舎には皐月賞で1番人気(5着)となったグランデッツァもいる。「どこかで対戦するはず」と指揮官。それがNHKマイルCを制した上で、ダービーでぶつかるのであれば最高だ。
逃げ、好位差しと脚質は自在。道悪も苦にしない重厚さも併せ持っている。「それが能力の違い」と秋山はシンプルに説明した。初の左回りも問題ないと語る。そして、こう続けた。「こういう競馬をしなくては駄目というのがない。どんな競馬をしてもパフォーマンスが落ちない」。揺るぎない自信と信頼。あとは女神がほほ笑むかどうかだ。