ギュスターヴクライが、完全に軌道に乗った。05年の有馬記念で無敗のディープインパクトに土をつけたハーツクライを父に、96年の秋華賞馬で、ジャパンCはシングスピールの鼻差2着だったファビラスラフインを母に持つ良血馬。再び“大物食い”をやってのける可能性を感じさせる。
昨秋は勝ち切れないレースが続いたが、5馬身差で圧勝した昨年12月の1000万からひと皮むけた。直後の準オープン特別を連勝し、G3のダイヤモンドSも2着に頑張った。そして、前走の阪神大賞典。オルフェーヴルが逸走したこともあったが、内をロスなく回り、現役最強馬の追撃を封じて念願の初タイトルを手に入れた。「最後も伸びていたし、差されないだろうなという感じはあった」と斎藤厩務員は振り返る。
最近の充実は、精神面の成長によるところが大きい。「以前は先頭に立ったら終わりというところがあったけど、(圧勝した)4走前から、1頭になってもしっかり走っている」と同厩務員。レースへの集中力が増し、“相手なり”の走りが消えた。
今年4戦目がG1。使い詰めだが、いまも上昇カーブを描き続けている。「使っても使っても、へこたれない。美浦回りの遠征をしたり、結構、きついことしてるんだけど、矢印は上を向きっぱなし」と同厩務員。骨折から復帰して、すぐにフローラSを制した蛯名の手綱も頼もしい。大きなきっかけをつかんだ良血馬が、同世代の“怪物”に再びぶつかっていく。