<レッドソックス3-2マリナーズ>◇1日(日本時間2日)◇フェンウェイパーク
穏やかな日曜午後の日差しが名手にはつらかった。同点の九回1死でレッドソックスのローリーが右翼へのライナーを放つ。太陽と重なったこの打球をイチローが見失い、マリナーズのサヨナラ負けにつながる三塁打としてしまった。
「本能的に捕りにいってしまった」。イチローはさばさばと話した。バットで捉えられた直後にボールが視界から消えた。直感だけで落下点にたどり着いたものの、最善の判断を下すには速すぎる打球だ。半身の右ももに当たり、右翼ポール際に転がった。
見えていない以上、「捕ることは難しい。というか(可能性は)ないに等しい」と分かっていた。諦めて単打にとどめようとする手もあったというが、それさえも簡単な状況ではなかった。「みすみすヒットをあげるという印象もつらい」。10年連続ゴールドグラブの自負が生んだわずかな迷いが、接戦の分岐点となった。