「アルジャーノンに花束を」を買って3日で、そのうちの1日半で読んだ。久しぶりに小説に没頭した。最近は哲学書を読んでいたわけだから、物語を文字で追うことが新鮮だった。最後の数ページから涙が止まらなかった。なぜなのか、私の感情の変化が私にも分からない。分かるように書き留めようと思う。チャーリィは私ではない。ただただ彼の人生を疑似体験し、結末が悲しくつらかったので涙した。涙の理由はそれだけだ。ただただやるせない、悲しい、悔しい。沢山思うことはあったが、人の多面性や自身がまだまだ無知であることをより深く知った。過去の自分の行動について顧みた。
総じて、他人にもっと寛容になろうと思った。
過去の出来事について、色々思い返したけれど私はずっと厳しかった。あまりプライベートなことは言いたくないので、長々と書かないけれど次はもっと上手くやれると思う。はやくまた経験したい、そして成長したい!
これは、不朽の名作といわれるだけある。小説をそこまで多く読んできたわけではなかったからか、こんな魅せ方もあるのかと感銘した。チャーリィの知的成長とともに、温かな心が減っていくのを経過報告から薄々感じ取ったが故に退行後の温かさを感じる文に涙が止まらなかった。知性を得ても、失うものがそれなら、知性を得る意味とは何なのか。

美しい言葉が好きだ、美しい言葉の質感を目で見て心で感じることこそが本を読む愉しみである。対して映画を見る愉しみは、カメラを通して通常の風景がいきなり特別なものに変化することにある。
21歳の私が読んでただ涙するだけだったけれど、30歳になって読んだ時はどう思うかな。

ともあれ1000円で1日楽しめるなら、1500円で2時間の映画よりコスパが良い。