一昨日は、東京シティフィルの定期演奏会だった。
演奏会が終わり、ホールを出ようとしたとき、後ろの席のご夫婦らしき方々の会話が聞こえた。
白髪の男性が連れの女性に言う。
『もう、こういう時代なんだよ』と。
何の話をしているか、想像がついた。
この日のプログラムは、マーラー交響曲5番。
トランペットとホルンが大活躍する曲だが、素晴らしい演奏をしたのが、トランペット首席の松木亜希さんとホルン谷あかねさん。
ふたりとも女性。
ふたりとも昨年は、産休を取っていたので、赤ちゃんのいるお母さんでもある。
女性だから、素晴らしいということではない。
ワタシは、音楽に深い造詣があるわけではなく、生オケの演奏が好きでボーッと聴いているのが好きな音楽ファンだ。
マーラー5番は何度か聴いたことがある。
でも、第1楽章から、いや、トランペットのファンファーレだけで、涙が溢れたのは初めてだ。
松木さんのトランペット🎺、素晴らしかった。
第3楽章のオブリガートホルンは、何とソリストのポジションで演奏。協奏曲スタイル。
その斬新さに見てるワタシは、なぜか緊張してしまったが、ステージの最前列にたった谷さんは、緊張どころか、楽しそうに見えた。
朗々と雄弁なホルンの音色〜。
心地よい。
第3楽章が終わり、谷さんがホルンの定位置に下がるとき、客席から自然と拍手が起こった。
トランペット松木さん、ホルン谷さん、とふたりのスター演奏家を中心に、一昨日のマーラー5番は、素晴らしい演奏だった。
75分という長い曲だが、最初から最後まで、心躍らせて聴けた。
高関マエストロの意図が、オーケストラの演奏者ひとりひとりに完璧に伝わっている感じ。
すごい。
先の男性が『こういう時代』と言ったのは、金管楽器のソロを若い女性たちが担う、ということだろう。
いや、もっと、性別なんてカンケーなく、能力ある人が登用される時代ってことかな。
長らく、金管楽器は、男性のもの、だった。
金管楽器は、体力差のある女性には無理〜、と決めつけられてたのか〜。
トランペットの松木さんは、女性としてもむしろ小柄なほう。
体格や肺活量の問題ではなかったのね〜。
音楽の世界では、『ジェンダーレス』が当たり前のものになってるのだろうか?!
ジェンダーレスで、才能あるものが登用され、評価される世界は素晴らしい。(当たり前といえば当たり前だけど…)
女性金管楽器奏者を増やそう、なんて目標掲げたオーケストラが、下手くそな女性演奏家を採用してたら、客は来なくなるだろう。
男性演奏家は、そんなオケ、辞めて別なオケに移るだろう。
そうだよな。
ワタシも松木さんや谷さんが『女性だから』感動したわけではない。
ただ、『女性なのに』かっこいいなあ、とは思っちゃった。
まぁ、ワタシは昭和生まれのオバちゃんだからね〜。
『女のくせに』『女なんだから』と言われて生きていた世代だから、今の女性たちを頼もしく感じる。
この時代の人たちは、オトコだーオンナだー、なんて意識しなくなりつつあるのかもしれない。
男女雇用機会均等法のちょっとあとの世代のワタシには、マブしい時代だな。
一方、我が社は。。。
下手くそどころか、まだロクに音も出せないオンナを首席奏者(職責者)にしてるようなもんなんだよなあ。
だから、能力の高い若い人たちは、転職してしまう……という……。
オーケストラと違って、我が社は社員数が多いので、すぐに破綻はしないけど、時間の問題だよ。。。
・・・というわけで、カーテンコールが鳴り止まぬ中、高関マエストロと共に再登壇した松木さん&谷さんの姿に、より一層の拍手を送りつつ、複雑な思いにかられたワタシであった。
千歩譲って下手くそはまだ許すとして、音もならせないヤツをステージにあげるなよ!(あっ、我が社の状況を例えた話ですよ…)