*『私』とのお喋り ①

 自分と向き合うと決めたものの、私は初っ端から既に逃げ腰だった。

 ひきこもりの期間約10年に加え、幼い頃から自己嫌悪がひどかった私にとって、自分という存在は1番目を合わせたくないものだったから。
 
「よし」と覚悟を決めて、自分の胸の中に渦巻く様々なものを見ようとする。
 
 湧き上がってくる混沌とした感情やイメージを、今までのように消そうとはせず、そのままにしてみる。
 
 すると、とてつもない拒否感が私を襲った。
 
 狭量な考え、自分勝手な主張、そんな自分を貶め、罵る声。

 それらが怒涛のように襲ってきて、心臓はバクバクと脈打ち、気分は最悪になる。

 見ていたサイトでは、自分をとにかく肯定してあげればいいと書いてあった。

 私もそうするつもりはあった。
 
 だけれど、これまでずっと自分を否定し続け、完膚なきまでに叩きのめしてきた私には、自分に「それでいいんだよ」と声を掛けることなど至難の業だった。

 試しに「いいんだよ」と許してみても、「そんなわけないだろ!」とすぐさま否定される。

「許して甘やかしたら、一生このままだぞ。こんな人生でいいのか?」と脅すような文言もある。

 そのどれもを真に受けて、喉がキュッと締め上げられたようになり、なにも喋られなくなる。

 いつもの私なら「やっぱり自分には無理だった」と早々に匙を投げていたはずだった。

 けれどこの時の私は、もう「生きる」と決めてしまっていた。

 その光を一瞬でも見てしまったので、再び消えゆく方向に戻ることに、より強い拒否感があった。

「もう二度と、あそこに戻ってなるものか」

 これまで生きてきて、一番の意地と、欲求が芽生えていた。

 この機会を逃せば、つまり一度でも、また死にたい淵にはまり込んだら、もう一生、そこから抜け出せないことだけは確かだった。
 
 ひきこもりになってから、初めて自発的に、不安や恐れからではなく、純粋な欲求から、社会に戻りたいと願った。

 ここで逃げれば、今度こそ本当に、人生は幕を閉じる。

 その生々しい危機感が、私の背中をグイグイと押しやっていった。

 


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