小学校1年生のころ

同じクラスの友達で、
ユウちゃんって子がいた。


その子のことをわたしは嘘つきだと思ってたし
まわりの子もそう言っていた。


なぜかというと彼女は本当にうそを言うし
ばれそうになるとサラリと逃げるから。

彼女は帰り道に

「うちにドラえもんいるんだー」

って話す。


その子の家に遊びに行った子が
「ドラえもん見せてよ」
と言うと

「今朝お兄ちゃんが壊しちゃった」
と言う。


そのレベルの子どもらしいうそだから
今となっては全然どうでもいいんだけど

6歳の自分としては腹立たしかった。

うそを信じた自分が恥ずかしいと思ったし

ユウちゃんは
自分の話に友達が驚くのを楽しんでたのかと

なんだかもてあそばれてる気がして
嫌だった。

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たまに行くフリースクールに
とても想像力豊かな1年生がいる。


おしゃべり大好きで

大人たちから不思議な話、こわい話
むかし悪いことした話とかを聞くのも大好き。

ストーリーをおねだりしては
自分の中にコレクションしている感じ。


彼女のする話は
嘘か本当か分からない。


話ぶりから察するに

多分、自分自身の中でも
夢か現実か
聞いた話か実際の出来事か

わからないまま話していることもある。


だって目が本気だから。

そんなことあるー??
って話を


本気の目でするから

コロっと信じてあとで大人に
「こんなことがあったんですか!?」と尋ねると

それは実際の出来事ではないことが判明する。


わたしは

ユウちゃんも同じだったかもしれない
と気づいた。



ユウちゃんは
うそをついてる自覚も
友達を騙そうなんて悪意も

なかったかも知れない。


わたしは今の今まで
ユウちゃんのことを
ただの嘘つきだと思ってた。


けど、本当は違うのだとしたら

わたしがユウちゃんに対して
下してきた評価は
間違っていたかも知れないと

30年越しに気づいて、はっとした。


真偽のほどを確かめる術はないけれど。