花見に行くバスの中で
一番後ろの席に座った男子大学生集団が

好きな芸人、嫌いな芸人について
話していた。


昔バラエティで
悪趣味なドッキリを仕掛けては
悪魔のように笑っていた
いじめっ子のような芸人が

今では芸能界の階段をのし上がって
へらへらとMCをこなしている。


大学生のひとりが
彼のことを「面白い、好き」と評価した。


一方で
昔は普通に漫才をしていたけれど

今ではYouTubeなどに活動の場を広げ
政治的主張や啓発活動にシフトした芸人がいる。


大学生は、
その人のことを「嫌い」と言った。


芸人は面白いことをしていればいいのに

急にインテリぶって
自己主張して
持論をまきちらすようなことをして
それが気にくわない、

というような理由だった。



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わたしは前者の芸人が嫌いで
後者の芸人が好きだから

きっとその大学生とは
分かり合えないと思うんだけど


自己主張が
人を嫌う理由になるって

こわくないか。


わたしは主張がない人こそ
大丈夫?と思ってしまう。


人間、生きていて

日々思うこと
気がつくこと
違和感をもつこと

それを人に言いたい気持ち

大なり小なりあるほうが自然じゃないか。




主張がない人の集まりが
大きな過ちを犯す。


日々流れてくる情報に
なんとも思わずいいね・拡散する人


SNSで叩かれてる人を
じゃあ自分も、って叩く人


前例踏襲という大義名分で
間違ったことをする上司
それを見て見ぬ振りする部下


みんなが入れてて
なんとなく勝ちそうな政党に
とりあえず投票する国民


雰囲気にのまれて
無茶苦茶な政治をなあなあに放置して
気づいたら戦争まっしぐらの国


主張をもたない無数の人たちが
束になって起こす過ちは恐ろしい。


いっけん誰にも責任がないようで
みんなが過ちに加担している。



自己主張が嫌われるとしたら
そんな空気の教室で過ごす子たちは

なるべく主張を消すように努めるだろう。


それなー
とか

あーね
とか

適当に同意する言葉を駆使して

長いものに巻かれて

嫌われ者を指さし笑い
いじめを放置するだろう。


自己主張を嫌い、という人は
ほんとうは

主張するほどの自己がないから

自己主張をしてる人がこわいんだと思う。


自己主張が嫌われない場を
みんなが思ったことを言える場を
ひとり一個でも持てたらいい。


ただしSNSをのぞく。