■初心の会&しろかね句会[五月]ハンカチを広げブルーの海隔つ  静魚 | 桃兎の部屋

■初心の会&しろかね句会[五月]ハンカチを広げブルーの海隔つ  静魚

 夏の闇ジントニックより来たり
 トロピカルフルーツとゐる薄暑かな
 ポスターの空中ブランコ夏きざす
 藻の花や逢ひたき人を誰ももつ
 風景のひろがつてゐる南風

                静魚




ここしばらくの暑さが和らいださわやかな週末、いつものメンバーが顔を合わせ、五月のしろかね句会が開かれました。 かねて見学のお申し込みをいただいていた由里さんが選句から参加してくださったのも嬉しい出来事です♪




$日本のもの、こと  桃兎の部屋-新緑




出席は静魚先生、木綿太さん、杜稜さん、酔雲さん、分水嶺さん、夜空さん、地平線さん、ことりさん、由里さん、桃兎の十名。 今治の岳人さん、久しぶりにとりこさんからも投句をいただき、当季雑詠全七十一句の中から、先生の特選、選、参加者それぞれの特選を清書順にご紹介いたします。




[河内静魚 特選]
 人恋へば四葩(よひら)より夜のにじみ出す   木綿太
 髪なほすため白日傘あづけらる         木綿太
 白玉のくぼみの蜜の濃きうすき         桃兎
 人声のはるかにありし薄暑光          酔雲
 占いの適中したり水中花            分水嶺
 雨垂れのやうに散り来るえごの花        酔雲


[河内静魚 選]※全十一句、内二句岳人さん。
 峡中に小さき祭りや朴葉寿司          夜空
 冷し酒見知らぬ人と打ち解けり         分水嶺
 黒潮は明るき海や大南風            木綿太
 夏草の香と母の香とかさなりし         桃兎
 日傘さす中やすらかに子の寝顔         地平線
 五月雨や開く蛇の目のかがり糸         夜空
 端居して噂ばなしを聞きながし         夜空
 七色の心ひそめてあぢさいの花         とりこ
 白シャツや第二ボタンを無くすまま       ことり
  



[夜空 特選]
 岳人句


[酔雲 特選]
 岳人句


[由里•ことり 特選]
 ねむの花いつもポッケに未来あり        酔雲


[杜陵 特選]
 トロピカルフルーツとゐる薄暑かな       静魚


[ 木綿太 特選]
 ポスターの空中ブランコ夏きざす        静魚


[ 地平線 特選]
 白玉のくぼみの蜜の濃きうすき         桃兎


[ 桃兎 特選]
 ハンカチを広げブルーの海隔つ         静魚


[ 分水嶺 特選]
 白鷺の一歩に暮るる川音(かわと)かな     杜陵




前回お休みの木綿太さん、その分を取り返すかのような、先生の特選二句、選一句♪ 分水嶺さんと私もいただいた「人恋へば…」の句は、雨や光の中の紫陽花を詠んだ句が多い中で、「夜がにじみ出す」という意外性がよい、と先生。 四葩、という紫陽花の別称を使っているのも素敵です。 俳諧味があって情景が浮かぶとされた「髪なほす…」の句もまた、分水嶺さん、私、加えて酔雲さんも選ぶ四点句。 さすがの木綿太さんでした♪


今回は酔雲さんも好調、先生の特選二句と、由里さん、ことりさんの特選を手中に♪ 飄々と、子供のような素直さでいつも座を楽しくしてくださる酔雲さん。 「人声の…」も「雨垂れの…」も、また「ねむの花…」の句も、どれも季語を理解しているからこその句、と酔雲さんの句で知る季語に新鮮な思いを抱いてしまうのです。




$日本のもの、こと  桃兎の部屋-ガクアジサイ





さて、先週末の「初心の会•五月」のご報告が遅れていましたので、ここでご紹介させていただきます。


まずは課題から♪


母の日の◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯

雨降つて◯◯◯◯◯◯◯竹落葉

◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯業平忌

諦める◯◯◯◯◯◯◯玉葱切る




出席は静魚先生、綺羅里さん、須賓さん、音会さん、桃兎の五名。 透子さん、吉野さん、織男さんはそれぞれご用ができて欠席。 人数は少し寂しかったのですが、と綺羅里さんの手料理と持ち寄りの品々で楽しい裏句会付きの会になりました。


先生の講義、今月は「季語の働き」。 例句を鑑賞しながら、季語の具体的な効用と働きについて学びます。


今月の例句です。


 越後屋に衣さく音や更衣        榎本其角
 五月闇秘仏の闇は別にあり       井沢正江
 綿虫と息合ひて世に後れけり      大石悦子
 寒雷やびりりびりりと真夜の玻璃    加藤楸邨
 しぐるるや駅に西口東口        安住敦
 蟇誰かものいへ声かぎり        加藤楸邨
 白桃にふつと夜汽車の匂ひかな     折井紀衣
 ふくろふに真紅の手毬つかれをり    加藤楸邨
 娘の星のたかさに冬の観覧車      肥后響子

 南風吹くカレーライスに海と陸     櫂未知子
 羽衣の海へ裾引く五月富士       高橋悦郎
 人の世に花を絶やさず返り花      鷹羽狩行
 いくたびも手紙は読まれ天の川     中西夕紀
 一口を残すおかはり春隣        麻里伊
 玉あられ最澄の山うちはやす      成内酔雲
 行く年や短編集のごとき日々      尾崎人魚
 赤き実のブローチ揺れて冬に入る    あべ毬


「季語は魅力が尽きない」と先生は締めくくられました♪
 


句会のご報告。 それぞれの最高点句です。


 諦める紅きマニキュア玉葱切る   桃兎
 諦める寄りそった日々玉葱切る   音会
 諦める虚空にほふり玉葱切る    綺羅里


 母の日の母は写真の中に住む    静魚
 母の日の父を語りしゆふべかな   桃兎


 空仰ぎうつらうつらの業平忌    須賓
 ほとばしる恋情うらやむ業平忌   音会


 雨降つて物音途絶え竹落葉     綺羅里
 雨降つて土に親しき竹落葉     静魚


今回の最高得点者は音会さん♪ 前々回のトップの座を取り戻しました。
先生が今回一番いい、とされた句もまた、音会さんでした。


 同じ月同じあはれや業平忌     音会



では来月の題。 皆さまもお楽しみください♪



◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯夏の雨

夏衣◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯

◯◯◯◯◯男女の恋は太初より

昼顔の◯◯◯◯◯◯◯海の風