■句会[長月] 熱くなる水の動くや露寒し  静魚 | 桃兎の部屋

■句会[長月] 熱くなる水の動くや露寒し  静魚

家系図の先端に居てとろろ汁    静魚
つんつんとおしろい花のみな背く  静魚


月に一度のお楽しみ、KIMA句会がありました。

兼題は「露」「白粉花」「とろろ汁」、今月から三つです。 「露」には様々な表現、応用形があります。 「白露」「露の玉」「露の宿」「露葎(つゆむぐら)」「露時雨」「露月夜」「露日和」など、とてもご紹介しきれないほど。 どれも露のはかなさや、きらりとした美しさを表して素敵です。

「白粉花(おしろいばな)」は「おしろい」「金化粧」「野茉莉(のまつり)」「燕脂花」「夕錦」とも。 別名を知ると、それぞれにずいぶん印象が変わるものですね♪

「薯蕷汁」と書いて「とろろじる」。 季語としては「とろろ」「いも汁」「麦とろ」も使えます。 前回先生から兼題としていただいた途端、あのふわっ、つるるっ、としたした食感と鄙びた味わいが広がって、早速食卓に載せたものでした。 それなのに私の場合、いい句には繋がらず…。 


とろろ汁
[河内静魚特選]
白粉花セーラー服はついぞ着ず     結女
ドドンパと白粉花の開きをり      留以
白粉花ひそひそ話聞こえたり      毬(博子改め)
とろろ汁帰ると云ふをひきとめし    榮子

[河内静魚選]
ことごとく享け入れし夜の露葎     人魚
丹念に丹念に擂るとろろ汁       順子
とろとろと足の先までとろろ汁     毬
露光る朝の空気のやや重き       律子
朝露や仔犬の足の軽きこと       律子
麦とろろ文句いうにも作法あり     結女
とろろ汁性善説を疑はず        桃兎
白粉花垣根に干せしスニーカー     榮子
そのときはスローモーシオン露の落つ  桃兎
白粉花夕闇わかつ赤と白        毬
軍鶏鳴けり峠の店のとろろ汁      律子

[桃兎特選]
露の客サファイア色に発光す      留以


今回は博子さんが絶好調、先生も感心のお言葉連発で♪ なにしろ先生からいただいた俳号が「毬」、先生の結社の名前なのです。 いいな♪
ということで、毬さんdebut!

毎回句会の後には席を移して、先生を囲んでのおしゃべりを楽しみます。 句会の時よりくだけて、食べたり飲んだりしながら云いたい放題?、にぎやかな時間です。 その時のお料理を用意するのが私の役割。 兼題にかけたり、旬を意識したり、と愉しんで。 今日の献立は、枝豆、〆鯖、菊膾、牛のたたき柚子胡椒風味、秋野菜の揚げ浸し、お稲荷さん、ぬか漬け、そしてもちろん「とろろ汁」。 お酒は「獺祭 濁り酒50 (うす濁り、微発砲)」、食後は人魚さんがお持ちくださったこだわりの「香り立つシースの巨峰」と甘栗でした♪


大和芋
ちなみに、私の「とろろ汁」は味噌仕立。 今回は大和芋を擂鉢であたり、そこに同量の、いつもより心もちだしも味も濃いめに仕立てた味噌汁(冷ましたものの上澄み)を、少しづつ加えていきます。 手持ちの擂鉢が小さいので、仕上げのときは大きいボウルに移し、泡立器で空気を含ませるように軽く混ぜてみました。 麦ご飯にかけてもおいしいですよ♪