少しキツかったかな…
さっきまでの雰囲気とは
打って変わって
シュンとしながら
申し訳なさそうにする彼女
自分で言ったのに
その姿を目にすると何だか気まずくて
適当に理由をつけて
足速に部屋を出た
事務所に向かうと
誰も居ない会議室にこもって
スマホを取り出す
直『あー もしもし?
ちょっと聞きたい事あんだけどさ…』
電話の相手はもちろん花で
返答によっては
あの子の採用を取り消す事になる
花『もしもしー? 何ー?』
直『花、臣と別れる前にさ
サロンで担当してたお客さんとか
覚えてたりする?』
花『え? あたし臣と別れたの?笑』
直『いや、そうじゃなくて…
おまえが逃亡する前の話!!』
花『逃亡って 笑
何いきなりー 笑
あーでも、確かに逃亡かっ 笑』
直『笑ってる場合じゃないからね?
こっちは
それどころじゃないんだって…』
花『何? どうしたの?
トラブルとか…?
やだっ あたし、何かした?!
ごめん、直人…』
直『違う違う 笑
何故そうなる…
おまえ何もしてねーからっ 笑』
花『そおなの? よかったぁ…
なんか迷惑かけたかと思ったよぉ』
直『仮にそうだとしても
ほら、俺ってば優男じゃん?笑
おまえ本人には言わないよね 笑
臣に言うよね 笑 』
花『アハハ 笑
そっちの方が優しくないよーっ 笑
直接言ってよっ 笑
それで? お客さんだっけ?』
直『そう!
秋山さんって子なんだけど…
お客さんで居た?』
花『… 秋山って…
ゆきちゃん?!』
直『そう… 秋山ゆきさん
花、知ってる?』
花『え?!
本当にゆきちゃん?!
何で、直人が知ってるの?!』
直『あー… sevenのデザインで
採用したんだけど…
花の事聞かれてさ、俺テンパっちゃって
とりあえずごまかしたんだけど…』
花『…
ゆきちゃん…
あたしの事覚えててくれたんだ…』
直『うん…
花に会いたいって言ってたよ。
どーする…?』
花『会いたい!!』
直『ハハ 笑 即答かよ 笑
分かった 本人に伝えとくわ 笑』
花『嬉し〜っ☆
本当に、ありがと直人!』
本当に知り合いだったのか…
とりあえず、戻って話さなきゃ…
あんな言い方した手前
やっぱり気まずい…
それに何故か
彼女を目の前にすると
ソワソワしてくるんだよな…
良くない良くない
良くないぞ俺…
まだ出会って間もない相手に
こんな風に感情を
揺さぶられるなんて
何か…
不味い気がするんだよな…
はぁ…
自分の事は
自分が一番分かってる
完全に
ドストライクなんだわ…