芸能人なのに

全く気取ってなくて
話しやすくて…

とにかく面白い人




それが直人さんの
第一印象だった…



この人は、本来なら
わたしみたいな一般人が
関わる事なんて
出来ない人なんだよね

職業柄、前の職場でも
何度か俳優さんや、女優さんに
会った事はあった

デザイナーと言っても
衣装さんや
スタイリストさんとは違うから
直接、話したりする事はなくて…


遠目で見てるだけだと
みんな芸能人オーラが強くて
近寄り難い雰囲気があった

だから、わたしの中の
芸能人のイメージは
そんな感じだったんだ…


でも、目の前にいるこの人は
全然違った


近寄り難い雰囲気は
全然なくて…

凄くフランクで
どこか安心する

温かくて、優しい人



だから…

わたしの中で
どうしても気になる事…
花さんの消息


この人なら
答えてくれるんじゃないかって…
そう思って、聞いてみた


ここで働く事が決まった時
どんな所なのか調べて
EXILEの直人さんのお店だって知った

花さんが昔話してくれた

彼氏がオーディションを受けてるって…

当時、それを聞いてわたしも
TVで観てた


花さんが言ってた彼氏は
きっと登坂さん

登坂さんのグループのリーダーは
直人さん

これが縁なんだって思った


花さんがサロンを辞めてから
新しい美容室を探すのも
何となく嫌で
花さんが居なくなってからは
川島さんに担当してもらってる

川島さんが登坂さんや
グループのメンバーの
ヘアメイクをしてるのは知ってた

だから、川島さんに何回か
花さんの事を聞いたけど
いつも誤魔化されて
消息を知ることは出来なかった

純粋に会いたくて
前みたいに髪を切ってもらって
いろんな話がしたい

ただ、それだけなんだけどな…





私が遠回しに話を振ると
あからさまに動揺する直人さん

ふざけてるのか
本気なのか…

目が泳ぐ泳ぐ

その様子に、思わず笑ってしまった



ゆ「フフッ 笑
 分かりやすいです 笑」

直「え? 何?

 臣の奥さんは、美容師じゃないよ?」

ゆ「わたし…
 花さんに会いたいんです。」

直「…     

 …  一体何者なの…?」

ゆ「…そう…なりますよね… 笑

 上京してきて、
 初めて行った美容院で
 花さんに髪を切って貰いました。
 その後も、ずっと…

 いっぱい相談に乗ってもらったし
 プライベートな事も
 色々話したり…
 お姉ちゃんが出来たみたいで
 わたし、凄く嬉しくて…
 美容院に行くのが、毎回楽しみでした。
 
 だけど突然、花さん辞めちゃって…
 それから一度も会ってなくて…」

直「…  ここに来たのは
 それが目的?」
 
ゆ「違います!
 ここへ来た理由と、それは関係ないです。
 わたしはどんな形であっても
 デザインの仕事に
 携わりたかったから…
 アパレルは確かに未経験ですけど、
 服を作る事への思いは
 誰にも負けないくらい強いと思ってます。」

直「…
 そっか…   分かりました。
 とりあえず、今日は店舗の様子とか
 スタッフの仕事内容とか
 見て行ってくれるかな?
 あと、ウチの服もひととおり目を
 通してもらえれば…
 で、感想まとめて明日提出して下さい。」

ゆ「あ…  はい、分かりました。」

直「話の件は、俺はよく分からないし
 まず、こうゆう場で話す事じゃないよね?」



顔は笑ってるけど
声は笑ってない

それに
直人さんが言ってる事は
全く間違ってない…

完全なわたしの私情でしかないし
ましてや初対面で
話すような事じゃなかった

いくら、直人さんが
いい人であっても
この人は、今日からわたしの
上司の中でもトップに立つ人で…

わたしがした事は
失礼極まりない…



やっちゃったな…