ー 二年後 ー



花「春〜っ! 筆箱持った?!」

春「持ったぁ〜!
 行ってきまーーすっ!!」

雛「にぃにーっっ!」

春「雛ぁ〜ッッ♡
 行ってくるね〜っ
 帰ったらいっぱい遊ぼうね〜っ」

雛「バァーバイッッ!」

春「うん、バイバイッッ
 後でね〜っ♡」




花「雛ぁ〜っ
 こっち、おいで〜っ
 髪の毛可愛くしようね〜っ♡」

雛「ヤーッッ!
 ないないのーっ!」

花「もぉ〜っ
 時間ないんだよぉ〜っ
 ママ、お仕事遅れちゃうからぁ…」

雛「ヤァーァッッ!!」

花「雛ぁ〜
 ママもヤダよぉ〜…
 お願いだからぁ… 」

雛「ないない〜ッッ!!
 パーパーッッ!!」



イヤイヤ期に突入した雛は
毎朝この調子で
部屋の中を走って逃げ回る

それを朝から必死に追いかけて
いつもお決まりのタイミングで
臣が捕まえる




臣「つーかまえたっ♡
 雛ぁ〜、保育園行かないの??」

雛「いく〜ッッ!」

臣「じゃあ、パパと行く?」

雛「イヤッッ! ママがいい〜っ」

臣「じゃあ、大好きなママを困らせちゃ
 ダメだよ〜
 ほら、髪の毛可愛くしよ??」

雛「かみのけイヤッッ!!
 ないないのーッッ!!」

花「そんなに結びたくないなら
 チョキチョキしちゃうよ?
 そしたらプリンセス出来ないよ??」

雛「プリシェシュするー!!
 がんちゃ、ヒナちゃ可愛いって〜//」

臣「また、岩ちゃんかよ 笑」

花「それじゃ、髪の毛結ぼ?
 またプリンセスみたいにして
 岩ちゃんに見てもらおっか?」

雛「うんっ♡//」

花「ハイ、じゃあ座って〜

 雛は岩ちゃん大好きだね〜? 笑
 パパがヤキモチ妬いちゃうよ?」

雛「がんちゃ、カッコいいの〜//
 パパよりカッコいい//」

臣「はいはい、そうですか〜 笑」

雛「でも、パパの方がしゅき〜っ♡」

臣「パパも雛大好き〜っっ♡」

花「もぉチョロいなぁ〜 笑
 デレデレじゃんか 笑」

臣「だって、雛は可愛いもんな〜♡」



臣が雛をギューっと抱きしめると
雛もキャッキャしながら
嬉しそうにはしゃいでて…

毎朝こんな事の繰り返しだけど
あたしはこの時間、
この瞬間が凄く好きなんだ…


雛が生まれた後
寝不足続きだったあたしに変わって
昼間は、臣が家の事
春の事
心配いらないくらい
完璧にやってくれて…

夜泣きが酷かった時期も
どんなに疲れてたって
必ず一緒に起きててくれたり…


春に対しても…

どうしても雛にかかりきりな
あたしに代わって
臣は、春との時間を
すごく大切にしてくれた

春が寂しくないように
不安にならないように
沢山の愛情を注いでくれて
春の前では
雛よりも何でも春を優先してくれた


そのおかげか、春は
雛にヤキモチを焼いたりも
しなかったし
情緒が不安定になるような事もなくて
穏やかに毎日を過ごせたんだと思う


それに何よりも
あたし自身がいちばん
不安もなく安心して
子育てが出来た


仕事に復帰した今も
それは変わらない…


臣が居てくれるから
何をするにも心強くて
仕事も育児も
家庭のことも
全部に一生懸命になれるんだ






臣「花、今日帰り何時?」

花「いつも通りかな?  臣は?」

臣「んー‥.    夕方には終わるかも…
 子供達の迎え、俺が行こうか?」

花「ほんとに??」

臣「たまには時間気にせずに
 羽根伸ばせばいいよ 笑」

花「羽根伸ばすって、仕事だよ? 笑」

臣「時間気にしないで仕事できるのも
 たまにはいいんじゃない?
 普段時間なくて出来ない事だって
 できるだろ?」

花「まぁ… ね 笑
 確かに、アシスタントの子の
 練習も見たいし
 ネット関係も
 ちょっと手加えたかったんだよね… 笑
 実際やらなきゃいけない事溜まってるし
 助かるかも…  」

臣「じゃあ、決まりっ!
 
 雛ぁ〜 今日はパパが
 お迎えだぞぉ〜っ♡」

雛「うんっ!!♡
 こえん行くー??
 にぃにも行くー??」

臣「公園? じゃあ、早めに行くから
 帰りに公園寄ってくかっ!
 にぃにも連れて行こうなっ」

雛「わぁ〜い♡
 こーえんっ こーえんっ」





雛は、すっかりご機嫌で
スムーズに保育園に送る事が出来た


だけど本当に
仕事が溜まってる今、
臣がお迎えに行ってくれるのは
非常に有難かった

まあ、実際に園まで行くのは
マネージャーさんなんだけど…





ここ数年で、臣は凄く変わったと思う

見た目も、内面も
かなり落ち着いた


忙しい事に変わりはないけど
昔よりも時間を大切に使ってるし
お金の使い方まで変わった


ただ単に歳を重ねたからかな
なんて思ってたけど

最近は、家族と過ごす時間が
増えたから?とか
ちょっと自惚れたような
気になっちゃう自分が居る…

そんな風に、考えるくらい
全体的に穏やかになったし
話し方や、人への接し方も
優しくなった


今の臣を見てると
子供達の存在が、いかに大きいかが
本当によく分かる…


春と雛


二人と一緒に、臣もあたしも
成長してるんだよね…


あたしが、子供達にとって
いい母親なのかは
自信がないけど

臣は、間違いなく
いい父親だよ…


毎日幸せ過ぎて
一日が終わるのが
本当に惜しいよ…






ねえ 臣…


これから先もずっと
幸せな家族で居ようね

毎日くだらない事で笑ったり

些細な事で言い合いしたり…


子供の成長を一緒に喜んで
一緒に歳を取って…


おじいちゃん
おばあちゃんになっても

変わらずにずっと…


隣で笑い合って居たい






臣…


いつも、ありがとう