年が明けてから
毎日のようにスタジオに篭って
レコーディングに
ジャケット撮影…

去年、ハネムーンで
あんなに長く
休ませてもらったからか
今年は正月休みも殆どなくて
花と春とも
ゆっくり過ごせてない…

HIROさんにまんまと
やられた気がする…


俺はこんなに忙しいのに…
それなのに…


昨日のLINEを見返しては
隆二にイラッとする


何で、隆二が花とカフェとか
行ってんだ?

俺とですら最近行ってねーよ

あ、俺とだから行けないのか…

クッソ!




昨日も一昨日も帰れなかったから
今日こそ帰りたくて
スタッフを上手く丸め込んで
ダッシュで仕事を終わらせた


やっと帰れる〜…







花「おかえりっ♡」


パタパタとスリッパの音を
響かせて玄関で飛び付いてくる
俺の愛しい人…

片手でギュッと抱きしめながら
我ながら器用に靴を脱ぐ



臣「ただいま 笑
 すっげー元気じゃん 笑」

花「元気じゃないよ〜
 寂しくて…     寂しくてあたし…」

臣「隆二とカフェ行っちゃった?
 旦那が一生懸命仕事してるのに…
 あーあ…   可哀想な俺… 」

花「すっごい、嫌味だね 笑
 別に遊んでたわけじゃないもん…

 隆二くんにヤキモチとか可愛い〜♡」

臣「ヤキモチとかじゃないけど?
 ただ、何してたのかなーって…」


春「ママぁ?! りうじくんに
 会ったの?! いつ会ったの?!」

臣「春〜ぅ ただいまぁ〜♡」

春「やだ! パパ今やだー!
 ねえ、ママ! ハルもりうじくんと
 遊びたかったぁ〜っっ」

臣「春、パパにおかえりって
 言ってよ〜
 りうじ、りうじって…
 そんなに隆二が好きか? 笑」

春「うん! 好き!
 優しいし、かっこいい!
 ハル、りうじくんみたいになるのー!」

花「そうだねー
 隆二くん、優しいもんねっ
 パパみたいに嫌味言わないし〜 笑」


夕飯の支度をしながら
花が俺を睨みつける


臣「ちょっと待て 笑
 なぜ、睨む?? 」

花「ちょっと来て… 」


花に手招きされて
キッチンに入ると小声で言われた


花「余計な事、春の前で言わないでよ…
 隆二くんに会ったなんて言ったら
 ハルもって騒ぐんだから…

 お土産貰ったんだけど、
 臣が隆二くんからって渡して?
 隠してあるから…   」

臣「俺ならいーの? 笑」

花「いーの、いーの 笑」

臣「オッケー! 分かった!」



着替えるついでに寝室から
隆二の土産を持ってきて
春に渡すと
めちゃくちゃ喜んでる

俺がお土産買ってきても
こんなに喜ばないのに…

寂しいもんだな 笑




臣「で?  隆二と何話したの?」

花「気になるー?? 笑」

臣「別に… 」

花「もーっ 気になるでしょ?
 そんなんじゃ、教えてあげないよ?」

臣「ハハ 笑
 嘘ウソっ! 気になるから 笑」

花「あのね…






花から隆二と例の彼女の話を聞いた

隆二とは年が明けてから
一回事務所で会ったきりで
殆ど話せなかったし
あれからどうなったのか
気にはなってたんだけど…


その話がしたくて
二人は会ってたわけね…



しかし、本当にあるんだな
DVって…


どんなに頭にきたって
腹が立ったって
自分の大事な女を殴るとか
俺には到底理解できない…

隆二、相当相手の男に
切れてんだろうな…


でも、彼女…

メンタルは大丈夫なのか?




花「何かね…

 一度体験した恐怖って
 簡単には拭えないと思うの…
 ましてや、彼女の場合は
 婚約者だったわけだし…

 信じてた相手に、そんな事されてさ…

 隆二くん…
 
 彼女のそういう部分に
 気づけてあげてればいいんだけど…」

臣「まあ…   そうだよな…
 力で押さえ付けられてさ、
 狭い世界に閉じ込められてるような
 感じだったのかもな…

 俺もちょっと、彼女の精神面は
 心配かもな…  」

花「隆二くんにも言ったんだけど…
 
 平気なように見えても、
 心の奥底にその時の事って
 残っちゃうと思うのね…

 トラウマってゆうか…
 なんてゆうかさ…

 だから、ちゃんと見ててあげてって
 言ったんだけど…

 隆二くん、彼女が家に居るってだけで
 かなり嬉しそうだったから…
 
 臣も、少し気にして見ててあげて?
 隆二くんの話聞いたりさ…」

臣「うん、分かった…
 ちょっと様子見てみるよ…

 花?

 花も、あの時の事…
 まだ怖い…?」

花「ん?
 そうだね…    少しだけ…
 
 でも、あたしの場合は
 あの人は最後に謝ってくれたし
 捕まって罪も償って…

 だから、大丈夫だけど…

 でもやっぱり、忘れられないかな…」

臣「何か…    ごめん…」

花「別に、臣を責めてるわけじゃ
 ないからっ  笑

 ただ、それくらい残る事だよって
 隆二くんにも分かっててほしい…

 まあ、隆二くんなら
 きっと忘れさせるくらいに
 彼女を大切にすると思うけどさ…」

臣「あいつは、根っからの優男だからな…
 間違いなく大事にするだろ? 」

花「そうだね…

 臣も負けないくらい優しいよ?♡」

臣「それは、当たり前な 笑」



俺がそう言えば、花は
にっこり笑って頷いた…






この時、花とこんな風に
話をしてて
本当に良かった…

この会話がなかったら
俺は、隆二の異変に
気づかなかったかもしれない…