今日は隆ちゃんが帰ってくる日

嬉しい反面…

複雑な気持ちもある



隆ちゃんが留守の間に
毎日のように送られてきた荷物

LINEで聞いたら
空けていいって言われたけど
そのままにしておいた

玄関に山積みなのも申し訳なくて
リビングの端に運んで
玄関や、廊下
他の部屋を掃除して
買い物に出かけた




晩ご飯、食べるって言ってたからなぁ…

何がいいんだろ…


LAってどんな感じなのかな?
どんな物、食べてたんだろ…
 
久々だし、和食がいいのかな?


でも、凝った物とか作れないし…


だけど、せっかくだから
美味しい物を食べて欲しい


料理本とか
買ってみよっかな?



確かこの前の美容院の近くに
本屋さんあった…



スーパーまでの道から少し外れると
美容室や、セレクトショップ
お洒落なお店が沢山並ぶ通りに出る

直ぐに本屋さんを発見して
少しだけ嬉しくなった



『いらっしゃいませ〜』


お洒落だ…

都心だと、本屋さんまで
こんなに素敵なの?


思わず感動して、気持ちが弾んだ

料理本を買いに来たのに
私の足は自然と
絵本のコーナーへ…

どうしても、子供達が喜びそうな
読み聞かせに良さそうな
そんな本ばかり手に取ってしまう


新しい園に、持って行こう…


その後、料理本を買って
時計を見ると
慌ててお店を出た

つい、長居しちゃったな…



少し足早に歩いて
来た道を引き返す…


そんな時ふと、
目の前に飛び込んできた
光景に胸が張り裂けそうになった





「隆… ちゃん?」







目の前のお洒落なカフェで
楽しそうに話してる姿

キャップを深く被ってるけど
私には分かる


間違いない…

あれは、隆ちゃんと
あの美容師さん…


一緒にいる姿は、私から見ても
凄くお似合いで…

やっぱり、彼には
華やかで綺麗な女の人が
隣にいる方がいい…



やっぱり、仲良しだったんだぁ…



買った本を胸元に強く抱えて
走ってその場を後にした…



なんだか
凄く、悲しかった…



こっちに帰ってきて
私より先に
別の女性と会ってた…


笑って、ただいまって
真っ先に帰ってくるかもって
勝手に過信して…

隆ちゃんが好きって言ってくれたのも
流れで言っただけかもしれない…


哀れな私に
優しい彼は、同情しただけなのかも…



どんどん黒い感情が
私の心を支配する…


嫉妬…


自己嫌悪…


不安…



色んな物が入り混じって
おかしくなりそうで…



こんな事になるなら
隆ちゃんの所に
来なければ良かった…


あの時、傍を離れて
もう二度と会わないって
決めたんだから…



そんな風に思うことしか
出来ない自分も嫌で
苦しくて…




柚に電話をかけた…