薄暗い照明に照らされて
目を背けるなんて出来ない程に
由香の姿は魅力的だった…

思わずくさいセリフを
口にしてしまうくらい
自分の気持ちを抑えられなくて…



もう一度、俺を見てくれよ…

好きになれ…

後悔させないくらい
大事にするから…



手を伸ばして、由香の頬にかかる髪を
そっと耳にかけてやると
俺のその手に優しく触れる…



『好きになったら…?』


『幸せになれるよ… 約束する…』


『簡単な女だって思わない…?』


『それでも構わない…』



簡単な女だっていい…
今すぐにでも
俺を好きになればいい…

そしたら絶対
離したりしないから…



そっと掴んだ俺の手を
自分の口元へと運ぶ彼女に
胸の高鳴りが激しくなる…

親指を立てて
彼女の唇をなぞれば
その表情は堪らなく色っぽくて
導かれるように唇を塞いだ


何度も息が上がって
苦しくなる度に
少しだけ離れては角度を変えて
キスをする

完全にスイッチが入れば
自然と身体をベッドに沈めて
舌を絡ませる


時折漏れる、甘い吐息に
俺の理性なんてものは
全く存在しなくて
ただ、目の前の由香が欲しくて
どうしようもなかった…


Tシャツを胸元まで捲りあげると
息を飲むほどに
綺麗なウエストラインが現れて
そこに手を這わせれば
身体がビクっと跳ね上がる


そこに触れたまま
唇を首筋に移動させて
少し強く吸い付いた


『隆… ちゃん//』


『ん…?』


『… やっぱり …』


『どうした?』


『やっぱり…  私…』


『…やめよっか?』



俺がそう言えば
目を潤ませながら
コクリとうなずく…


やっぱり、そうだよな…


何してんだよ俺は…



乱れた由香の服を直して
隣に寝っ転がると
そっと腕を体の下に滑り込ませて
そのまま抱きしめた

顔を由香の肩にくっつけながら
話をする


隆「…  ごめんね?
 節操ないね、俺… 」

由「… 違うのっ
 私が、いけないの…

 私が…  流されちゃうから…」

隆「…流されたっていいのに 笑
 この状況だよ? 辛い… 」

由「ごめんなさい…

 やっぱり、こうゆう事は…

 その…  ちゃんとしてからじゃないと…
 まだ、何も解決してないし… 」

隆「… 分かってる
 由香は、きっと途中で止めると
 思ったよ…

 そんな簡単に、ヤラせるわけないもん…」

由「言い方悪いし…//」

隆「あー…   行きたくない
 明日マジで行きたくない…
 
 由香と居たい〜っ 」


ギューっと強く由香を抱きしめながら
自分の本音を吐き出した


由「苦しいよっ 隆ちゃん!」

隆「早く、好きになって?
 俺のこと…

 俺なしじゃ生きていけないくらい
 依存したっていいから…  」

由「隆ちゃん… 」

隆「こっち戻ったらさ…
 
 先輩との事も、少しずつ
 気持ち整理して
 ちゃんと、前に進もう…
 俺に出来ることは、何でもするから…

 まさか…  戻ったりなんて
 考えてないだろ…? 」

由「…  うん。
 哲哉くんと元の関係には 
 もう、戻らないよ…

 離れてみたら、凄くよく分かったから…
 彼にされてた事も…
 普通じゃないんだって… 」

隆「…  婚約破棄できるの?
 その、勇気はある? 」

由「…  まだ、分からない…
 目の前にしたら…
 もしかしたら、怖気付いちゃうかも
 しれない…   
 だけど‥   このままじゃ何も変わらないから…

 強くならなくちゃ… 」

隆「…  俺が、あげるよ…
 強くなれる勇気… 」

由「ねぇ、隆ちゃん…」

隆「んー? 」

由「何で、そんなにあったかいの…?」

隆「なあに? 
 それは、触れ合ってるからさ… 笑」

由「そうじゃなくて//」

隆「由香にはね、何でもしてあげたい…
 幸せになれるように…
 その為なら、何だってする…
 強くなる勇気が足りないなら
 俺は、それを由香にあげたい…

 由香に必要な物は
 俺が全部プレゼントするよ…

 それくらい、おまえが大事… 」

由「また、サラッと言う//
 こっちは凄い恥ずかしくなるんだよ…//」

隆「へへ 笑
 俺も自分で言ってて、恥ずかしいよ? 笑」

由「… 隆ちゃん

 あったかいね… 」

隆「…  そうだね…

 由香?  眠くないの?」
 
由「…  眠くなってきたよ

 不思議…   何だか凄く良く眠れそう…」

隆「今は、安心して眠りな…
 おまえを不安にするものは
 ここには何一つないから… 」



少しだけ、力を抜いて
由香の胸を優しく叩く

一定のリズムで…
まるで、子供を寝かしつけるように…



しばらくすると
由香はスーッと寝息をたて始めた


凄く穏やかな表情で
安心しきったように…


俺は、それだけで
凄く嬉しかった…




仕事…
明日起きてから
やればいいや…