隆ちゃんの家に向かう間
私はずっと
外の景色を眺めた


これから先…

どうしたらいいんだろ…

みんなに迷惑かけて
自分の力じゃどうにも出来なくて…


やっぱり私なんかが
幸せになるのって
難しいのかな…







柚「うっわ〜…
 やっぱり、芸能人は違うね〜…」

誠「ヤバいよな? 笑
 俺も最初来た時、ビビったもん!」



隆ちゃんの家に到着するや否や
柚は興奮して
終始部屋の中を行ったり来たり…

私も、驚きを隠せなかった

都心のタワーマンションの
最上階

一面ガラス張りのリビングからは
東京の夜景を一望できる



成功者の証


その言葉がぴったりなくらい
本当に素敵な部屋だった





隆「そんなとこ突っ立ってないで
 適当に座ってよ 笑 」

由「あ…   うん」

誠「じゃあ、俺と柚は帰るわ…

 由香? 伸び伸び過ごせよ?
 家主も居ないんだし
 好き勝手やっちゃえ 笑」

柚「アハハ   笑
 そうだよ、由香 笑
 隆二に気なんて遣わずに
 のんびりしなよ〜っ 笑
 何かあったら、連絡してね!
 すぐに飛んでくるからっ!」

由「うん…   ありがと… 
 柚も、何かあったらすぐに言ってね?」

柚「あたしは、大丈夫だってば 笑
 じゃ、また近いうちに来るからっ!」



そう言うと、二人は
帰って行った


隆ちゃんと二人…  か。


何か…

何だろ…

急に、緊張してきた…



隆「由香? そんな固くなるなって… 笑」

由「え…?  あー…
 何か、緊張しちゃって… 笑」
 
隆「あー…   へへ 笑  
 俺も 笑 」



隆ちゃんの変わらない笑顔に
少しだけ気持ちが和らぐ


隆「あ、そうだ!
 色々教えとかなきゃだね? 笑
 物の場所とか、その他諸々! 笑」

由「そ… そうだねっ! 笑」

隆「あと、これ! カードキー
 暗証番号押して、カードをタッチすれば
 開くから…  番号は、LINEで送るって…
 LINE知らないんだった… 笑」

由「あっ! たしかに!
 教えとくね? 」
 
隆「ちゃんと、番号もね 笑

 あっち行っても、電話繋がるし
 LINEも繋がるから
 何かあったら必ず連絡しろよ?」

由「分かった!
 あの…    さっき来る途中で
 言えばよかったんだけど…

 ちょっと、コンビニ行ってきていい?」

隆「え? あ、何か必要な物ある?
 俺が行ってくるよ! 」
 
由「ううん! 大丈夫大丈夫!
 一人で行けるからっ 笑
 鍵の使い方も覚えたいし… 笑

 隆ちゃん、明日の準備あるでしょ?
 
 じゃあ行ってくるねっ! 」

隆「いや、危ないからっ!
 俺も行くって… 」

由「本当に、平気だから…
 隆ちゃんはここに居て? ねっ?」



玄関まで小走りで行けば
隆ちゃんは、その後を追ってくる



隆「ダメだって!
 タクシー呼ぶから、それ乗って?」

由「大丈夫だから… コンビニすぐ傍に
 あったじゃん… 笑」
 
隆「何買いに行くの?」

由「色々…
 服も全部柚のだし、
 下着とか化粧水とかも欲しいから…

 女子は何かと物入りなんだよ? 笑」
 
隆「あ… そっか…
 でも、コンビニで足りるの?
 どっか他の店… ってもう空いてないか…」

由「着る物は、明日買いに行けるけど
 他は直ぐに必要だし…
 歯ブラシとか…  色々ね」

隆「あ! 由香!
 いい所あるじゃん!
 俺、久々行きたいわ〜 笑
 暫く行ってないんだよなぁ… 」

由「… どこ?」

隆「ん? 笑
 ドンキ!! 笑」

由「そっか…  ドンキね 笑
 昔、良く行ったね… 笑」

隆「だろ? あそこなら全部揃う!
 俺も何か見たいし、行こ?」

由「隆ちゃん、平気なの?
 こんな時間に外フラフラしてて…
 しかも、ドンキなんて…」

隆「平気だよ 笑
 必殺! マスクにキャップ 笑」


ニカっと笑って、すぐ傍のキャップを
深く被るとポケットにスマホと
お財布を突っ込んで玄関を開けた


本当に大丈夫なの?

私から見たら、どう見ても
今市隆二


不安なのが顔に出てたのか
隆ちゃんはマスクを付けて
自信満々な顔で言った



隆「大丈夫だって 笑
 意外とバレないもんだから 笑
 大丈夫、大丈夫 笑」



その言葉を聞いたら
何だか不思議と安心できた


昔からそうなんだ

隆ちゃんに 『大丈夫』って言われると

本当に大丈夫な気がしてくるの…








隆「由香ぁ〜? 
 見てっ! 絶対便利じゃない?

 あ、これヤバい! 笑
 めっちゃ欲しい〜

 つーか、ドンキ楽しいわぁ 笑」

由「はしゃぎすぎだよ… 笑」

隆「へへ 笑
 ごめん、ごめん 笑

 必要な物は? 全部あった?」

由「うん、とりあえずは…

 足りない物は、昼間買いに行くから…」

隆「そっか…
 カゴ、持つよ? 貸して?」

由「え? いーよ…
 軽いし…
 下着とか入ってる…//」

隆「あ…//  そっか…
 まっ、気にならないけどさ 笑
 今さらだしね 笑
 白がいいなぁ〜 笑」

由「ちょっと… //
 りゅっ 隆ちゃん!//

隆「アハハ   笑
 冗談だよ 笑 」



あまりの恥ずかしさに
隆ちゃんの顔が見れなかった

慌ててカゴの中の
下着が見えてないか確認した


会計中、近くに居たはずの隆ちゃんが
気づけば居なくて
キョロキョロしてると
腕いっぱいに飲み物やお菓子を
抱えて奥から走ってきた


隆「会計、間に合ったぁ
 飲み物とか、食べ物なんも無いの
 思い出してさ… 笑」

由「お菓子ばっかり 笑」

隆「急いでたから 笑」


そう言って、お財布からカードを出すと
レジに置いた


由「私が、払うよっ」

隆「いーの、いーのっ 笑」

由「隆ちゃん… 」

隆「俺が連れて来たんだしさ 笑
 ほら、早く袋に入れないと
 俺が下着触るよ? 笑」

由「駄目っ//」











隆ちゃん…
 

私ね

この時の買い物
凄く楽しかったの…

ただ普通に、必要な物を
買ってただけなのに

別に特別な買い物でもないのに


久々に心から笑えた気がして
胸につかえてた何かが取れて
凄くスッキリした気持ちになれた