久々に会う隆二くんは
前に会った時より
少し痩せてて…

何だか元気がない気がした

キラキラのスマイルは
相変わらずで
安心出来たけど…


春と遊んでても
ご飯を食べてても
時折、考え事をしてるのが
分かって
何か悩み事でもあるのかな?
って思った


さっきまで、そんな風に感じてたのに
恋愛で悩んでるって
分かった瞬間
いてもたってもいられない…


それからは、急いで片付けて
春をお風呂に入れると
早々に臣に春を渡して
寝かしつけてもらう



リビングで、コーヒーを飲んでる
隆二くんの向かいに座ると
ソワソワする気持ちが
抑えられなくなる




花「…  じゃあ、お話聞こうかな? 笑」

隆「…へへ 笑  そうだね…
 えっと…  何から話そうかな? 笑」

花「でも、何か嬉しいっ 本当に…
 隆二くんから相談されるなんてっ 笑
 あたしで良ければ何でも聞くからね?
 
 あ〜 気になるな 笑
 どんな子? あ! 業界の子?
 あたし、知ってるかな〜? 」

隆「花ちゃん、凄くイキイキしてるね 笑」

花「// ごめん! 何かはしゃいじゃって…」

隆「いーよいーよ 笑
 しんみりするより、その方が
 話しやすいしさ 笑」
 
花「そお?  何かね、最近ずっと
 仕事と家の往復でさ…
 萌とランチ行ったりもしてないし
 ガールズトーク的なのしてないから
 楽しくなっちゃって… 笑
 ごめんね? 隆二くんは、男の子だから
 ガールズトークでもないのに…」

隆「俺は全然いいよ 笑
 花ちゃん、仕事と育児は
 やっぱり大変? 」

花「ん〜…  大変じゃないって言ったら
 嘘になるけど、辛くはないかな? 笑
 どっちも思うようになんて
 いかないこと沢山あるし…

 だけど、凄く楽しいよ 笑
 毎日クタクタだけど、
 それでも楽しいっ 笑」

隆「花ちゃんは、凄く幸せなんだね 笑」

花「うん、凄く幸せだよ… 

 それよりあたしの事は、いいからっ 笑
 隆二くんのお話聞かせて?」

隆「あ〜…   うん。

 前に、花ちゃんにも話した事
 あったと思うんだけどさ…

 俺、オーディション前まで
 ずっと付き合ってた子が居たんだよね…」

花「…うん! 分かるよ、憶えてる!!
 
 え? まさか、その子と?!
 ヨリ戻したの?! 」

隆「いや…   違うんだ 笑
 相手は、その子なんだけど
 ヨリ戻したとかじゃなくて…」


隆二くんは
微笑みながら
相変わらずの優しいトーンで
話してるけど
時折、切なそうな顔をする…

そんな表情を見てると
何故だかあたしまで
切なくなった…




花「でもさ、隆二くん…

 本当にあたしなんかに
 相談して大丈夫? 」

隆「んー…とね。
 花ちゃんだからだよ?
 
 彼女…  あー…
 由香も、俺の将来や夢の事を考えて
 俺のために離れていったから…

 花ちゃんなら、きっと
 あいつの気持ちや色んなことが
 俺なんかより分かるかもなって…」

花「…  そっかぁ…
 あたしも、確かにあの時は
 臣のために
 傍を離れたからね…
 
 それしか道はないって
 思ってたし、そうしなきゃいけないって
 毎日思ってた… 」

隆「本当は、一緒に居たかった?
 臣と…  」

花「うん…    当たり前じゃん? 笑
 凄く、不安だったし
 自分で決めたくせに
 弱気になる事もあったよ?
 
 会いたかったし、声も聞きたかった…」

隆「そうだよね…

 会いたいし、出来る事なら
 一緒に居たかったはずだよね…

 俺は、あの頃本当に歌手になる事ばっかりで
 由香の気持ちをちゃんと分かって
 なかったんじゃないかって
 今だから思う事が沢山あって…」

花「…もしかして、最近なんかあった?」

隆「…え? 分かる?」

花「だって、8年以上前に別れた彼女の
 話を今になってするんだよ? 笑
 
 何かあったとしか思えないよ…
 流石にあたしも分かるよ 笑」

隆「まあ… そうだよね 笑
 そうなるよね…   笑

 実は、少し前に会ったんだ…
 別れてから一度も
 会ってなかったんだけど…

 結婚するんだって…
 地元の先輩と…

 俺さ、あいつが幸せならそれだけで
 良かったんだ
 俺が夢に向かって頑張れたのも
 全部由香のおかげだから…

 だけど、仲間内の奴から聞いた話だと
 結婚相手の男に
 相当酷い事されてるみたいでさ…

 それ聞いたら、何か気が気じゃなくて…
 ここ最近、由香の事ばっかり考えてる…」

花「…酷い事って?」

隆「暴言吐かれたり、多分殴られたり…
 周りが、色々説得したり
 話をしても庇うか自分が悪いって
 言うだけで何も解決してない…

 DVについて、色々調べてみたんだけど
 洗脳とか、恐怖で思考が停止するとか
 怖い事ばっか書いてあるしさ…

 由香の友達は、今の由香を見てると
 洗脳されてるって言うんだよね。

 俺が会った時は、昔と変わらず
 そのまんまだったんだけどな…」

花「…隆二くん。

 隆二くんは、由香さんが好き?」

隆「…好きだよ。
 俺、自分でも気付かなかっただけで、
 違うな…  気付かないふりしてただけで
 由香の事、ずっと好きだったんだなって…

 由香以外の女の子を好きになった事もないし
 彼女にしたいって思った事もない…

 ずっと、特別で大事なんだ…」

花「隆二くん… 」


時折、言葉を詰まらせながらも
真剣に話す隆二くんの顔は
何とも言えないくらい
切ない表情をしてた…

自分の大切な人が
辛い思いをしてるかもしれないんだ

隆二くん自身も
かなり辛いよね…

ずっと好きだった彼女が
結婚するってだけでも
複雑なはずだし
幸せでいてくれたらまだしも
その保証もない…

真っ直ぐな性格の隆二くんだからこそ
悩んじゃうよね


隆二くんの心情や
彼女の状況を思うと
さっきまでの自分のはしゃぎっぷりに
恥ずかしくなって
嫌気がさした



隆「?!  花ちゃん?!
 ちょっと待って…
 えー… っと えーっ 何で?」

花「うぅ…   ゴメン…  ック…」

隆「え?! どうしたの?!
 どうしよ…   え? 俺のせい?
 えーっ ごめんごめん!」

花「違う〜 …  隆二くんの
 せいじゃないよ〜っ うぅ… 」

隆「え〜 どうしよう…
 ヤバイ…  臣に怒られる…
 花ちゃん… 泣かないでぇ〜」


自分の馬鹿さ加減に
涙が出てきて
それに気づいた隆二くんは
一気に焦り出した


困らせないように
あたしも必死に涙を拭った



臣「…はぁ
 やっぱり…  」

隆「臣ぃ〜っ
 俺、泣かした? 俺のせい?
 何か… ごめん!!」

臣「いや、隆二のせいじゃないからっ
 大体聞こえてたし、
 何で泣いてんのかも
 想像つくから気にすんな…
 ったく…  おまえが泣くなよ!」


春を寝かしつけて
臣が寝室から出てきた

半分呆れてるのか
ため息が深い…


花「ゴメ…  隆二くん…
 ごめんね?  何か、話の内容が
 あまりにも深刻なのに
 隆二くんの気持ちとか
 由香さんの状況とか…  考えたら
 あたしの話を聞く態度は
 申し訳なかったなって…

 自分が情けなくて…
 アホすぎて…  」

隆「いやいや…  いいんだよ…
 花ちゃんは、そんな感じで
 いてくれたら全然…
 
 さっきも言ったけど、
 しんみりしすぎても暗くなるだけだし
 普通に話したいじゃん? 笑
 だから、花ちゃんと
 話したかったんだから 笑」

臣「ごめんな、隆二…
 気遣わせて…

 花は、基本的にすぐ泣くから
 もう泣いても無視でいいから 笑」

花「酷… 笑
 でも、本当に無視していいよ 笑」

隆「いや、出来ないからね 笑」

臣「ハハ 笑
 まず、隆二は無理だろうな! 笑
 あと直人さんもね 笑」

隆「あー 笑
 直人さんは、花ちゃんの涙に
 一番敏感だもんね 笑
 もう、あれじゃ保護者だよ 笑」

臣「まあ、俺らの保護者でも
 あるけどね… 笑」

隆「ハハハ 笑
 そうそう! 笑 」



隆二くんに笑顔が戻って良かった…
さっきまでは、本当に辛そうな
顔をしてたから…


だけど、今は笑ってるけど

これからどうするのかな…


何に対しても真っ直ぐで
こんなにも優しくて
 心があったかい隆二くん


幸せになってほしいな…


大切な
大好きな人と
結ばれてほしい



彼女が好きなら
真っ直ぐぶつかって

そんな最低な結婚相手なら
奪っちゃえばいいのに…


そんな風にも思ってしまうけど

そんな無責任な言葉を
あたしなんかが言えるわけなくて…


結局、解決策も話せず
隆二くんの気持ちを聞くだけで
時計の針が0時を過ぎる頃、
隆二くんは帰って行った…




大丈夫かな…

役立たずでごめんね…
隆二くん…