どうせ大した事じゃないだろ
       くらいにしか思ってないんだろうな
       
       ショーも上手くいって
       本店の話も良い方向に進んでる
       ましてや憧れの松井店長と     
       話せた事で浮かれモードの花

       俺のこのお願いは
       果たして聞き入れてもらえるのか。。




臣「、、、。一緒に住まない?」

花「え!?」

臣「無理?」
     
花「まだ付き合って1ヶ月もたってないよ?」

臣「やっぱ  だめか。。」

花「ダメじゃないけど。。
      ちょっと考えたいかも。。」

臣「分かった! じゃあお願い変える!」 

花「は!? 」

臣「だって聞いてくれないなら
     他のことお願いしたほうが得じゃん!」

花「だから、考えたいだけだってば!」

臣「いいよ もう! やっぱ家上がってく!」


      そう言って花のマンションの
      エントランスをくぐる
      鞄の中の鍵を探しながら
      追いかけてくる花が可愛い
      

花「どうしたの?いきなり!」

臣「寒いし、やっぱり寄ってく!
      つーか泊まる!!」

花「別にいいけど、仕事は?」

臣「明日午後からだから平気!」

花「そっか。。 今開けるねっ」



ーーガチャッ


         ギューッ

      玄関を入った瞬間に花を抱きしめた
      会う度に毎回激しく抱いて
      一緒に風呂に入って 一緒に寝て

     なのに 足りない
     もっともっと花と一緒に居たいし
     花の全てを独占したい
     俺の事だけ考えてほしい
     
     日に日にそんな想いが強くなるんだ



花「どうした?」

臣「すっげぇ 好き」

花「フフッ♡ 知ってる 笑」

臣「毎日一緒にいたい、、。」


    花を後ろから抱きしめたまま
    今の俺の気持ちをぶつける


臣「これから、本店に移動したら
     忙しくて会う時間なくなるだろうし。
     だったら一緒に住んじゃえばさ
     毎日顔見れるし。。俺は嬉しい。」

花「そうだけど、、。
     どこに住むの?新しく借りるの?」

臣「うちの店のオーナーが
      不動産もやってるから
      安く貸してくれるって言ってた!」

花「もう! 勝手に話進めてたの!?」


      花はちょっとムスッとしながら
      俺の腕をすり抜けて部屋に入ってく
      もうひと押しかな?


臣「彼女と住みたい って話したら
     ちょうど空いてるとこあるって!
     2LDKだし 広いよ!」

花「、、。場所は?」

臣「三茶!!」

花「本当に?!  今より近いじゃんっ」

臣「1回見に行かない? 
      見るだけだからいいでしょ?」

花「分かった。  見に行く。」


      行ったら絶対住みたくなるだろうな
      写真しか見せてもらってないけど
      花が好きそうな雰囲気だったから。。


臣「年明けて落ち着いたら見に行こう?」

花「分かった! 
     臣、お正月どうするの?」

臣「なんも決めてない! とりあえず寝る!」

花「地元帰らないの? あたしは帰るよ?」

臣「いつー? 花いないと寂しいから
      俺も合わせて帰ろっかなー」

花「2日に帰って、次の日には
     戻るよ? 4日から仕事だし。。」

臣「じゃ俺も2日に帰って3日は
     こっちに戻ってくる!
     元旦は初詣行こうか?」

花「行きたいっ♡ 明治神宮!!」


      嬉しそうに笑う花を見てると
      俺まで嬉しくなった


臣「ねぇ、俺といて楽しい?幸せ?」

花「なに急に? 笑
     楽しいよっ ♪  幸せかなぁー? 笑」

臣「かなぁー? って おいっ! 笑
    ありがとね。俺と付き合ってくれて。」 

花「だから、何? 笑
     恥ずかしいからやめようよ 笑」

臣「何か一年を振り返ってたら
     言いたくなった 笑
     来年も再来年も一緒にいよう?」

花「そうだね〜♡」


      そう言って俺の肩に頭を乗せる
      なんだかんだ甘えてくれる彼女が
      この時の俺の全てだった
  




      大切な何かを手に入れるため
      何かを失う
      俺の選んだ道は 間違ってたのか
      彼女の笑顔が見たくて
      喜んで欲しくて   ただそれだけ
      それだけだったんだ。。。


    数年後、俺は大切な物を失う事になる

     この時は、そんな事知る由もなく
     今の幸せを噛みしめていた